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人口12億人で新車市場は中国の7分の1、これからマイカー普及が進むインド新興国自動車事情(4)(3/5 ページ)

約12億9000万人という、中国に次ぐ国内総人口を抱えるインド。ときに亜大陸とも呼ばれる広大な国土もあいまって、いずれ世界で最も人口の多い国となるのは確実です。今後はさらなる経済成長も見込まれるとあって、2016年2月に開催された首都デリーのモーターショー「第13回オートエクスポ」には、世界中のメーカーが出展。会場は熱気に包まれていました。

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インド特有の車型に欧米ブランドも参入

 インドではマルチスズキがトップシェア、ということは以前からよく知られています。ヨーロッパや韓国、それに日本のメーカーが次々と本格参入してきた現在でも、およそ40%のシェアを確保していますが、あらゆる自動車メーカーが新興国市場の攻略に本腰を入れているので、今後どうなるかはまったく予測できません。

 インドでは他の国にない、ユニークな車型が大きな販売ボリュームを占めています。それは「全長4m未満のノッチバックセダン」というもの。フォーマルでステータスを感じられるセダンに人気が集まるのは、マイカーの普及がはじまった新興国に共通するトレンドです。しかしインドでは、全長4mを境界として物品税の税率が大きく変わるため、インドだけで見られる車種の登場を促しています。

 インドにおける自動車の物品税率は通常ならば価格の22%ですが、全長4m未満ならば10%に減免されるのです。大衆はフォーマルなセダンが欲しいけれども、税金は安く抑えたい。そこで生み出されたのが、ハッチバックにわずかばかりのトランクを追加したような、リアオーバーハングが極めて短いノッチバックセダンというわけです。

1415 今回は欧米自動車メーカーが全長4m未満の大衆向けセダンを投入する動きが目立っていた。フォード「フィーゴ アスパイア」(左)とシボレー「エッセンティア」(右)は新興国向けスモールハッチバックをベースに開発(クリックして拡大)
1617 VWの「アメオ」(左)は従来の「ポロ セダン」とは別に、新たに開発した同社初のインド専用車種。ヒュンダイは「エクセント」(右)をはじめとしてスモールカーを多数投入し、首位のマルチスズキを猛追している。

 今回のショーの注目点は、このインド特有のセダンの新型車を、欧米自動車メーカーも発表してきたというところです。これまで、マルチスズキの「スイフト ディザイア」、ホンダ「ブリオ アメイズ」といった日系ブランド車が主流だった市場に、Ford Motor(フォード)やGeneral MotorsのChevrolet(シボレー)ブランド、Volkswagenが本格参入してきたのです。

 以前から日系ブランドを追い上げていた韓国の現代自動車も合わせて、一気に激戦区となるわけです。ショーを訪れた観衆の視線も熱く、真剣な面持ちで価格表を見つめる人が多かったのが印象的でした。欧米ブランドも、今後はこれまで以上に大衆感覚で親しまれる存在になっていくのでしょう。

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