人口12億人で新車市場は中国の7分の1、これからマイカー普及が進むインド:新興国自動車事情(4)(4/5 ページ)
約12億9000万人という、中国に次ぐ国内総人口を抱えるインド。ときに亜大陸とも呼ばれる広大な国土もあいまって、いずれ世界で最も人口の多い国となるのは確実です。今後はさらなる経済成長も見込まれるとあって、2016年2月に開催された首都デリーのモーターショー「第13回オートエクスポ」には、世界中のメーカーが出展。会場は熱気に包まれていました。
SUVトレンドはインドにも
コンパクトセダンだけでなく、世界的に流行しているSUVも人気が高く、さまざまなコンセプトカーや新型車が展示されていました。SUVでも、やはりコンパクトなものが中心ですが、中には3列座席でMPVとして使える大型モデルも。自動車メーカー各社がインドの嗜好をつかもうと試行錯誤している様子が伺えます。
トヨタ自動車はMPVの新興国戦略モデル「イノーバ クリスタ」を世界初公開しました。インドネシアではベストセラーとなっている車種ですが、インドでMPVはあくまで実用車という位置付けなのでミニバンがパーソナルカーとして購入されることは多くありません。それでもショー会場での注目度は高く、市場が少しずつ成熟へ向かっているということを示しているのかもしれないと感じました。
女性の社会進出と二輪車市場
デリーショーは二輪車や商用車も展示される総合モーターショーです。ここからは二輪車について紹介することにします。現在のインド市場は、スクーターのシェアが拡大を続けています。二輪車全体の販売台数が頭打ちとなる中で、排気量100〜150cc程度のスクーターだけは成長を続けているのです。
その理由は、女性の社会進出が進んでいる点にあります。民族衣装のサリーの裾を気にすることなく乗車でき、操作も容易なことからコミューターとして人気を博しています。このため実用性はそのままに、柔らかな曲線で構成されたボディーを持つ新型スクーターが日系ブランドから登場。男性ユーザー向けの新型車とともに、積極的にアピールしていました。
一方、ヒーローやTVSといった二輪車メーカーの地元勢は、スタイリッシュなスポーツコンセプトを公開しました。これまで日本メーカーの技術を導入することで成長を続けてきた地元の二輪車メーカーですが、近年は独自開発路線にシフト。日系ブランドと競合するようになっています。
ホンダとの合弁を解消した最大手のヒーローは、排気量300cc以上の中/大型モデルへの意欲を見せました。ただし実際の製品が登場するのは、もう少し先のことになりそうです。また、中堅のTVSはヨーロッパからデザイナーを招き、デザイン能力を大きく底上げ。先進国のモデルに劣らない、スタイリッシュなモデルを登場させています。
実は二輪車に関して、インドは既に重要なグローバル生産拠点としての地位を築いています。日系メーカーではいうに及ばず、Harley-Davidson(ハーレー)やBMW、オーストリアのKTMといったプレミアムブランドもインドで生産し、世界中に輸出するようになっているのです。
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