三菱自のPHEVシステムをルノー日産が標準採用、アライアンスでコスト低減へ:電気自動車(2/2 ページ)
三菱自動車がルノー・日産アライアンスの一員となった。日産の経営陣が三菱自の役員に加わるが、三菱自の独立経営は維持する。日産は、三菱自が投資価値とリターンをもたらすと見込み、アライアンスの一員として期待をかける。
日産が三菱自と組むメリット
会見で、益子氏とゴーン氏はシナジーを追求する主な範囲として以下の項目を挙げた。また、ゴーン氏は三菱自のプラグインハイブリッド(PHEV)システムをルノー・日産のアライアンス標準として採用することを明らかにしている。益子氏は、量産効果によるプラグインハイブリッドシステムのコスト低減が見込めると述べた。
- 部材の共同購買
- 現地化の徹底
- 工場の共用
- プラットフォームの共通化
- 自動運転技術の共同開発
- ASEAN市場の強化
- オートローンやリースなど金融分野
これにより、三菱自はアライアンス1年目から250億円以上のシナジー効果を見込んでいる。営業利益率は1年目に1%、2年目に2%、3年目に2%以上の改善を見込んでいる。また、日産としても、これらのシナジーは営業利益の改善につながる。シナジー額は2017年に240億円、2018年度に600億円と予測している。
ゴーン氏は、日産が三菱自と組むことで得られるメリットのうち、上述のシナジーの創出は短期間で享受できるものにすぎないという。「まだ検討していないシナジーもある。部品やアクセサリー、アフターセールスも可能性がある。また、海外市場については、シナジーが明確なASEANを優先するが、北米や欧州、中東などでの協力もあり得る。ルノーと三菱自のシナジーも創出していく」(ゴーン氏)。
また、「アライアンスがもたらす恩恵は、日産がルノーと成し遂げたことで分かっている。ルノー・日産は2015年に43億ユーロ(約4860億円)のシナジーを創出した。2018年には55億ユーロ(約6200億円)に拡大する見通しだ。三菱自がアライアンスの一員として力をつければ投資価値とリターンをもたらす。そのためにも日産は三菱自の経営強化を支援する」(ゴーン氏)と日産としての狙いを説明した。
ルノーと日産のコスト低減に貢献している取り組みの1つが、プラットフォームをモジュール化する「コモン・モジュール・ファミリー(CMF)」だ。日産の「ローグ」「キャシュカイ」「エクストレイル」やルノーの「エスパス」「カジャール」「メガーヌ」「タリスマン」で既に採用されている。
2015年にはルノーがインド向けに発売した「クウィッド」で、2016年半ばにはダットサン「redi-Go」でCMFが採用されている。2020年までにモデルの70%をCMFアーキテクチャで開発する方針だ。この他にも、ルノー・日産では両社とロシアのアフトワズも含めて生産拠点を活用した相互生産を行い、シナジーを創出している。アライアンスの一員として、三菱自のクルマづくりは大きく変わっていきそうだ。
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