生産ラインのロボットを一括コントロール、競合他社製品も制御可能:産業用ロボット(2/3 ページ)
ヤマハ発動機は自動化生産ラインを低コスト、短期間で構築可能とし、インダストリー4.0などのIoT活用への対応力を高めた統合制御型ロボットシステムを開発。2016年12月1日から販売を開始する。
中核製品となる統合コントローラー
この統合制御型システムの中核を握っているのが、統合コントローラー「YHX」シリーズである。「YHX」シリーズは、高機能と高性能を併せ持つ「ホストコントローラー」、多様なモータ制御に対応した「ドライバーユニット」、多軸駆動に必要な動力を配線レスで供給可能な「大容量パワーユニット」、最少の配線で効率的に周辺機器を接続する「リモートIOユニット」、さまざまな制御ニーズに対応できる「ゲートウェイユニット」などで構成されている。
特徴として大きいのは、ロボットコントローラーとしての機能だけでなく、生産ラインの制御信号をコントロールするPLC(プログラマブルロジックコントローラー)の機能まで備えている点である。「IEC 61131-3」にも準拠した高性能PLCを内蔵し、汎用性の高いロボット言語を新開発した他、さらに主要な各種フィールドネットワークにも柔軟に接続可能としている。
フィールドネットワークの対応としては、具体的には、マスターとして使う場合は、「PROFINET」「EtherNet/IP」「EtherCAT」に対応する。スレーブとして使う場合は、「PROFINET」「EtherNet/IP」「EtherCAT」の他、アダプターを活用することで「CC-Link」「DeviceNet」にも対応するという。これにより、フィールドネットワーク経由で集めてきた情報を、統合コントローラーから上位システムに送ることができ、IoTやインダストリー4.0などで描くスマートファクトリーにも発展可能な柔軟性と拡張性を備える。
村松氏は「ヤマハ発動機の製品は既存製品なども統合コントローラーによる制御を可能とする。さらに、競合他社の製品でも、フィールドバス経由で制御可能としており、工場内にあるさまざまなシステムを統合することが可能となる」と述べている。一方、統合コントローラーの開発においては「ロボットとしての観点、制御としての観点、ソフトウェアとしての観点、ユーザーのアプリケーションとしての観点、それぞれで最大公約数が実現できるように開発するのがとても難しかった。ただ、それにより何かを諦めるのではなく、統合して使う場合でなくても従来製品より高いスペックを実現していることが特徴だ」と述べている。価格についても従来製品の同等構成であれば「同等程度に抑えた」(村松氏)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.