ロボット大賞、ティーチレスでばら積みピッキングできるコントローラーが受賞:産業用ロボット(1/3 ページ)
経済産業省と日本機械工業連合会が主催する「第7回ロボット大賞」の結果が発表。経済産業大臣賞は、MUJINの「完全ティーチレス/ばら積みピッキングMUJINコントローラー『PickWorker』」が受賞した。
経済産業省と日本機械工業連合会は、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省との共催により「第7回ロボット大賞」を実施。2016年10月12日に各賞の結果を発表した。
「ロボット大賞」は、ロボット技術の発展やロボット活用の拡大などを促すため、特に優れたロボットなどを表彰する制度。2006年から「ロボット大賞」として経済産業大臣賞の交付が行われてきた。2016年度は「ロボット新戦略」に基づき、ロボットの社会実装の拡大と技術の発展を目指す取り組みから、新たに総務大臣賞、文部科学大臣賞、厚生労働大臣賞、農林水産大臣賞、国土交通大臣賞の5つの大臣賞を創設。新たな発展を見せている。「第7回ロボット大賞」の募集期間(2016年4〜6月)の全151件の応募の中から、「第7回ロボット大賞審査特別委員会」の審査により、表彰対象が決定。2016年10月12日に発表された。
大賞はティーチレスでばら積みピッキングができるコントローラー
「第7回ロボット大賞(経済産業大臣賞)」は、MUJINの「完全ティーチレス/ばら積みピッキングMUJINコントローラー『PickWorker』(ピックワーカー)」が受賞した。
受賞した「ピックワーカー」は、産業用ロボットによるばら積みピッキングを人間がロボットに動作を教示(ティーチング)することなく「完全ティーチレス」で実現するコントローラーである。「ペンダント上でロボットの動作環境を作成」し「ワークの把持可能箇所をの登録」、さらに「搬送位置や姿勢の登録する」という3ステップのみで、3週間程度でばら積みピッキングの立ち上げができる※)。
※)関連記事:3ステップで簡単設定、ティーチレスでばら積みピックアップが可能に――MUJIN
産業用ロボットは、決められた動作を決められた通りに行うもので、その動作を規定するティーチングにはプログラミングなどが必要となる。そのため生産ラインに組み込む場合でも、段取り替えなどの柔軟性の欠如などを招き、利用領域が限定されていたという状況がある。「ピックワーカー」はこれらの課題解決を実現するものである。評価のポイントとしても「自動車産業に加え、物流でのピッキング工程の自動化を推進するなど、労働力不足なんどの社会的課題解決への貢献と生産性向上に寄与している点を評価する」としている。
MUJINは2011年に設立された産業用ロボット向けソフトウェアおよびプラットフォームのベンチャー企業。共同創業者でありCTOを務めるローセン・ディアンコフ(Rosen Diankov)氏は、ロボットアプリケーションの動作計画のアルゴリズムをテスト・開発・展開するためのオープンソースプラットフォーム「OpenRAVE」の創設者である。
ファナックの「緑のロボット」などが日本機械工業連合会会長賞を受賞
一方、日本機械工業連合会会長賞は、人と協調して働く、ファナックの協働ロボット「CR-35iA」が受賞した※)。「CR-35iA」は35kg可搬と重量物を取り扱える高可搬タイプでありながら、安全柵無しで人と一緒に作業できる協働型汎用産業用ロボットである。接触停止、退避動作、反転動作が可能な安全機能を搭載し、アームも柔らかいカバーで覆うなど安全面に注力したことが特徴である。またファナックの機器は「黄色」であることが有名だが、同ロボットは安全性を訴求するため「緑」を採用したことでも注目を集めている。評価ポイントとしては「実績も挙げつつあるため新たな市場を開拓できる可能性が十分ある点」としている。
※)関連記事:35kgのモノが運べるのに安全! ファナックの“緑”の人間協調ロボ欧州デビュー
日本機械工業連合会会長賞のもう一つの受賞製品はIDECの「人−ロボット協調安全用スリーポジションイネーブル装置」である。同装置は、約20年間で累計250万台を出荷した実績を持つ、ロボット操作時の予期しない動作から回避する安全装置である。この装置の国際規格は同社の取り組みを通じて策定され、人とロボット協調空間における安全確保のスタンダードとして高いシェアを獲得している。
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