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円高円安が激しく入れ替わる中でのモノづくりの目指す姿鈴村道場(4)(3/4 ページ)

トヨタ生産方式の達人・鈴村尚久氏による連載コラム「鈴村道場」。今回は、円高や円安など、為替レートが激しく入れ替わる中でのモノづくりの目指すべき姿について解説する。

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「内製は高く外製は安い」は本当か

 このような話をすると、「内製は高く、外製は安いのに、少量品を自社で作るともうけが減ってしまうのでは」とよく言われます。

 これについて私は、いつも自社の原価構成の定義をしっかり把握することが大事だと話しています。

 原価は労務費、材料費、経費の変動費と、営業、開発、生産管理部門、購買部門、総務・経理部門などの固定費から構成されます。

 この中の固定費がくせ者なのです。

 内製の原価には固定費が含まれていますが、例えば、発注/検収/支払などの伝票作成や、種々の確認業務、購買部門のコスト、貿易を管理するコストは、主に内製分の固定費に賦課されています。

 外注先の見積にはこの部分は含まれておりませんので、内製の原価で外注先の管理費を負担していることになります。この部分を差し引きして考えた場合、いくら外注先の人件費が安くても、生産効率が高く、不良をほとんど発生させずに生産した場合の内製と比較すると、私の経験上内製と外製のコスト差はかなり縮まります。

 判断の1つの目安は、一般的な原価構成で積算した場合の内製原価に対し、同一品を外注先で作った場合の見積が半分から3分の1以下であれば外注先を選択しても良いと感じます。しかしそうでない場合は、内製の方が十分に競争力を確保することができます。

 管理部門のコストを無視した見掛けの価格だけで外製ばかりを選択していることは、分かりやすくいうと「クルマに乗るのに保険を付けないのと同じ」であるということです。

 不測の事態の時に大きな損害が発生する場合の「不測の事態」とは、「大きな需要変動」や「重大な品質問題の発生」のことを言います。

 「そんな確率が低いことに目を向けても……」という経営者もたくさんいます。

 それで対策を立てないで廃棄ロスや手直しに莫大なコストをかけて経営危機に陥る企業を私は何度も見てきました。

 やはり「備えあれば憂いなし」なのです。

 あるべきモノづくりとして、多品種少量品および大量品の変動部分を内製で担当し、少品種大量品の固定量を外製で担当するとなると、設備設計や工程設計の考え方も全く変わります。これについてはまたの機会に解説します。

図4
図4 内製/外製のコスト構造について(クリックで拡大)

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