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日産「セレナ」対テスラ「モデルS」、自動運転システムの共通点と乗り味の違い乗って解説(3/3 ページ)

日産自動車にとって日本市場での最重要モデルである5ナンバーミニバン「セレナ」。2016年7月に発売したセレナの新モデルは、自動運転技術「プロパイロット」の搭載を最大のウリとしている。プロパイロットと同じレベル2の自動運転であるTesla Motorsの「オートパイロット」との共通点や違いを解説する。

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プロパイロットは手離し運転ができない

 試乗後、再び日産自動車の本社5階に戻り、セレナの開発担当者らと懇談した。

 プロパイロットの技術について、日産自動車 電子技術・システム技術開発本部 AD&ADAS開発部 性能・信頼性開発グループ主担の青柳究氏に聞いた。

 同氏によれば、一般道と高速道路など自動車専用道路では、前車追従と白線感知を開始する条件が異なり、制御を開始するまでの時間に差があるという。プロパイロットをセット可能な走行速度は時速30〜115kmだが、白線感知は走行速度が時速50km以下で前車が検知できた場合のみ作動する。一般道路と自動車専用道路の違いは、単眼カメラからの情報のみで検出しており、GPSなどの位置情報は利用してない。

 そして、プロパイロットをセットする際、車両が車線の中央に近いほど制御が介入するまでの時間が短い。白線側に寄った状態でセットすると、車線中央へ車両が大きく動く危険性があるからだ。その他にも制御が介入するための条件があるが、詳細については非公開だという。

 それから気になったのが、ステアリングのセンサーだ。プロパイロット作動中はステアリングをしっかりと握っていない状態だと、約5秒後に警告が鳴り、さらに約5秒後にプロパイロットが解除される。ステアリングを握っているかどうかは、タッチセンサーではなく、電動パワーステアリングのトルクセンサーで、直進安定性に対する反力を検知し、人が操作しているかどうかを認識しているそうだ。

NHTSAも関心を示すプロパイロット

 こうした「同一車線・自動運転技術」について、日産自動車としては顧客にしっかりとした説明を行うべく、ディーラーの営業担当者への教育を徹底している。

 神奈川県追浜市にある日産自動車のテストコースに、全国の日産系ディーラーの営業担当者を迎え入れ、開発陣自らプレゼンテーションを実施している。その内容は、商品の詳細、利用条件や利用状況の限界について、そしてディーラーでの試乗の際「何を伝えるべきか」といった、自動運転に対する正しい認識についてだ。

 さて、青柳氏への質問の最後に、アメリカの米国運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)が自動運転に関するガイドライン策定を当初予定より延期し、独自の研究も行うなど、米国の行政が自動運転への取り組み方を変えている点について意見を求めた。

 これについて、2016年7月のセレナ公開とほぼ同時に、NHTSAから北米の開発拠点である日産テクニカルセンター・ノースアメリカに問い合わせがあり、技術面の詳細について聞かれたという。こうした動きを受けて日産自動車では、NHTSAが米国内のみならず、日本や欧州などの各地域での自動運転技術の情報収集を徹底していることを強く認識したという。

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