ADASや自動運転、電動化でトランスミッションはどう変わる?:シェフラージャパン 技術インタビュー(3/3 ページ)
エンジンの高効率化、電気自動車やハイブリッド車などの電動化、運転支援機能での走る曲がる止まるの制御など、トランスミッションを取り巻く環境は変化している。また、ATやMT、CVT、DCT、AMTなどさまざまな種類のトランスミッションが存在する中で、それぞれの採用比率はどう変動していくのか。
ドイツの本社に対し、日本で何をけん引していくか
MONOist シェフラージャパンは、ドイツを本社とするシェフラーの日本法人だが、日本が主導する開発テーマを増やそうとしている。トランスミッションで日本がけん引すべきテーマは。
中澤氏 CVTは日本が主導すべきだと考えている。CVTを扱うのはほとんど日系企業で、日本の技術だと考える人も多い。その一方で、ベルトやチェーンはドイツやオランダのサプライヤが強い。日欧の間に立てる分野だ。
CVTの進化の可能性としては、チェーンやベルトの小型化はもちろんあるが、駆動の油圧をどれだけ小さくできるかというのもCVTの大きな課題だ。電動化できないのかという取り組みもあり、大きな変化を生めるしれない。
日本のお客さまに欧州の技術を押し付けるのではない。日本で喜んで使ってもらう“翻訳”がわれわれの重要な役割だと考えている。シェフラージャパンと欧州が考えるソリューションは、目的は一緒だがやり方や解決法の考え方の違いがある。そこをいかにつなぐかが難しいところだ。
栗城氏 欧州とのコラボレーションだけではない。トランスミッションに使うベアリングは、韓国製の競争力が高まっている。コスト低減やニーズに対応した設計、迅速な評価など日韓のコラボレーションにも力を入れていきたい。
日本が主導権を持つには、社内のポジションの1つであるプロジェクトマネージャーを日本が務める必要がある。開発から量産開始までをコントロールする役割のポジションだ。プロジェクトマネージャーがお客さまと話しながら社内を動かしていく。設計や実験がドイツでも、日系のお客さまとの仕事は日本法人がプロジェクトマネージャーとなって進めたい。
中澤氏 また、Eクラッチのような技術が増えていくと、味付けやキャリブレーションが重要になってくる。ソフトウェアや制御を理解し、お客さまとともにキャリブレーションができる機能が日本法人になくてはならない。
関連記事
- 燃費向上に貢献するCVTは、嫌われ者
CVT(無段変速機)の採用は、燃費向上に寄与するばかりではなく、コストダウンにも有効、だけど…。 - 動力を断続するクラッチは回転してアッチッチ
運転ビギナーを悩ませるクラッチには、超過酷な動作に耐えるための工夫がたくさんだ。機能と耐久性、どちらも譲れないぞ。 - シェフラーの“すり合わせ”が前進、成果は日産向けの電動可変バルブタイミングに
シェフラージャパンは、「人とくるまのテクノロジー展2016」において、シェフラー初となる電動可変バルブタイミング機構を紹介した。開発は日産自動車と共同で行い、間もなく量産を開始する予定だ。ホンダ向けに供給したDCTでリコールが頻発した反省を踏まえ、“すり合わせの力”を磨いて日産自動車との協業に臨んだ。 - ホンダの新ハイブリッドシステム「i-DCD」、欧州と日本の技術融合により実現
ホンダの新型「フィット ハイブリッド」に搭載されている1モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」は、欧州が得意とするDCT(デュアルクラッチトランスミッション)と、日本が先行して開発を進めてきたハイブリッドシステムの技術融合によって実現した。 - 48Vシステムのコストはフルハイブリッドの半分、2016年から欧州市場で導入
ドイツの駆動部品メーカーSchaeffler(シェフラー)によると、欧州市場で2016年から導入される見込みの48Vハイブリッドシステムのコストは、フルハイブリッドシステムの半分で済むという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.