IoTは導入企業の過半数で「投資対効果ある」段階に:製造業IoT(2/2 ページ)
ボーダフォンが世界17カ国、9業界の約1100人の企業経営幹部を対象にIoTの普及を調査した「ボーダフォンIoT普及状況調査レポート2016」をまとめた。既にIoTは「導入するかどうか」を超え「どのように導入するべきか」のフェーズに突入しているという。
産業機器の見える化や遠隔監視を素早く実現する「IoTスタンダードパック」を提供する東芝も、ボーダフォン同様にIoT導入を推進する企業の1つだ。このIoTスタンダードパックは遠隔監視に必要なアプリケーションやクラウド基盤、モノとクラウド(サービス)をつなぐゲートウェイや通信ービスまでも提供する。
東芝とボーダフォンはIoT/M2M分野におけるパートナーシップを締結しており、東芝としては世界的な通信網を持つボーダフォンのネットワーク網や対応するゲートウェイを利用することで、国境をまたいだ見える化や遠隔監視も実現可能としている。
「東芝はモノ(Things)から始まる企業だからこそ、サイバーとフィジカルをつなぐことができると考えている。グローバルなアライアンスを積極的に進め、日本の製造業に“Global No1”の価値を提供していく」(東芝 インダストリアルICTソリューション社 IoT技師長 中村公弘氏)
英Vodafoneがイギリスに低消費電力セルラー規格「Narrow Band IoT」(NB-IoT)のラボを立ち上げるなど、同社グループは次世代通信規格の実用化検証にも着手している。しかし、阿久津氏は手段と目的を取り違えたくないと言う。「IoT導入によるメリット」(目的)を提供するために通信(手段)は存在しており、目的に合致するならば4G(LTE)どころか2Gでも問題ないというスタンスだ。
「インダストリー4.0」や「製造業のサービス化」それに「Industrial Internet of Thnigs」などといった製造業を取り巻く話題はネットワークサービスなしに成立しないが、ネットワークが主役ではなく、あくまでも主役は製造や生産の過程、そして最終製品であり、“製造業が作り出す価値”である。
「ボーダフォンとして提供するネットワークは世界規模で問題なく利用できるという観点から2Gもしくは3Gが中心だが、データ量が多く高速通信が必要なら4Gも提供する」(阿久津氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 産業機器の見える化・遠隔監視を支援するクラウドサービスを発売
東芝は、産業機器やビルファシリティなど、管理・監視対象とする装置のデータの「見える化・遠隔監視」を簡単かつ迅速に開始できるIoT基盤のクラウドサービス「IoTスタンダードパック」を発売した。 - “言行一致”のIoTソリューションで製造品質を見える化する
製造業がIoTの活用を模索する中で、自社のモノづくりにおける実践事例を“製造業向けIoTソリューション”に仕立てて外販する事例が増えている。富士ゼロックスも「SCQM」と名付けた製造品質の見える化ソリューションを自動車業界などに展開中だ。同社執行役員の永岡大治氏に、いち早くSCQMを展開できている背景などについて聞いた。 - M2Mの活用企業は22%で前年比80%増、“自社製品の強化”への利用が増加へ
ボーダフォン グローバル エンタープライズは、世界14カ国、7業界の600人以上の企業経営幹部を対象にM2Mの普及情報を調査し「2014年度版ボーダフォン M2M普及状況調査リポート」をまとめた。同調査は2回目で前年と比べM2Mソリューションの導入企業は約80%増加し、普及率は22%となったという。 - 製造業はIoTを収益化できるのか、ソフトライセンス管理の仕組みで実現
デジタルセキュリティベンダーのGemalto(ジェムアルト)が、IoT(モノのインターネット)サービスの収益化ソリューションなどについて説明。同社が世界トップシェアを握るパッケージソフトウェアなどのライセンス管理の仕組みを適用することで、製造業がIoTを活用したサービスに取り組む際の課題として挙げられている収益化に貢献できるとした。 - IoTと自動車分野で積極投資――u-blox
順調に売上高を伸ばすスイスu-blox。成長を後押しするのはIoT(モノのインターネット)と自動車だ。IoT向けでは、標準化が最終段階にあるセルラーIoT規格NB(Narrow Band)-IoT対応モジュールを「世界で初めて」(同社)発表するなど、積極的に製品を展開している。