ダイハツの新型軽自動車が狙う、「親と同居する30代以降の独身女性」の市場とは:車両デザイン(2/2 ページ)
ダイハツ工業は2010年から2014年にかけて、軽自動車市場での女性シェアを10ポイント落とした。子どものいない女性に向けたラインアップはフルモデルチェンジを1度も実施していない「ムーヴ コンテ」「ミラ ココア」しかなく手薄になっていた。新型軽自動車「ムーヴ キャンバス」でシェア回復を狙う。
30代女性とその親世代にこのデザインはどう見えるか
ムーヴ キャンバスのデザインは、「ナチュラル」「愛着」「アクティブ」をキーワードにしている。ファッションでナチュラルさやシンプルさが重視される傾向や、“自分への投資”として積極的に外出するターゲット女性から着想を得ている。また、シンプルで奇をてらわないデザインとすることで、親世代も含めて長く愛着を持ってもらうことを目指した。
外観は「角がない丸い印象で可愛らしい雰囲気を演出し、ファンシーにならないようにした。可愛すぎるのは、ターゲットとする女性本人や購入を援助する親からも毛嫌いされるからだ」(ダイハツ工業の説明員)。
しかし、「アクセサリーをイメージしたヘッドランプのキラキラ感や、光源をランダムに配したリアランプ、ドリンクホルダーの色使いなど、“このクルマのここがお気に入り”と思ってもらうための工夫を用意した。購入の決定打にはならないかもしれないが、購入意欲を刺激できるのではないか」(同社の説明員)と女性の心をつかもうとしている。
また、社内で「やりすぎだ」と否定的な声も上がった2トーンの「ストライプスカラー」も用意し、ユーザーが個性にこだわれるようにした。「(ベースとなった)タントは家族で乗るクルマだが、ムーヴ キャンバスは1人か2人で乗るパーソナル感を重視している。無難なクルマがほしい人は他の選択肢に行くだろうが、個性を大切にするターゲット女性に応えるためだ。車体の上下を大きく分ける配色にすることで、ピンクや黒など主張するボディーカラーの見え方が変わってくる。例えば、ピンクは可愛すぎず、黒も男性的になりすぎずに見えるのでは」(同社の説明員)。
燃費では競わない
デザイン担当の説明員は「意匠にこだわる“テイスト系”を増やしていき、他社の軽自動車にはない、ダイハツとしての独自性につなげたい」と述べた。
また、同社 上級執行役員 開発本部担当の上田亨氏も「お客さまには、燃費は30km/lもあれば“十分良い”と評価していただける。その次の段階では嗜好性や用途に合うかどうかが焦点になる。他社と30km/l以上の燃費改善を競うよりは、コンセプトに合った意匠や機能を盛り込んでいく方が競争力を高められる」と燃費競争には乗らない姿勢を示した。
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