「タント」ベースだけど名前は「ムーヴ キャンバス」、狙うは実家暮らしの女性:車両デザイン(2/2 ページ)
ダイハツ工業は、新型軽自動車「ムーヴ キャンバス」を発表した。ベースはスーパーハイトワゴンタイプの「タント」だが、全高を1655mmに抑え、「ムーヴ」の派生モデルとして展開する。実家暮らしで親とクルマを共同で使う女性をターゲットとし、親が望む機能性と、見た目を重視する女性に好まれるデザインを両立することを目指した。
機能性がほしい親世代と共用できるクルマに
また、ムーヴ キャンバスは親子で共有する使い方を踏まえて、女性が“見た目買い”するデザインと、親から子まで幅広い世代に対応する機能性の両方に力を入れた。
機能面で特徴とするのは、全高1700mm以下の軽自動車では初となる両側スライドドアの採用だ。全高1700mm以下ではスライドドアの設定自体が珍しいという。「過去に他社で片側のみスライドドアを採用したモデルがあったが、現行では設定がなくなってしまった。片側のみという制約やコスト増、スライドドアの利便性が認知されていなかった当時の状況が要因ではないかと分析している。スライドドアの便利さが浸透してきたので、全高1700mm以下のクラスであっても需要はあるだろう」(大澤氏)。
この他にも、後部座席のシート下収納「置きラクボックス」とスライドドアの組み合わせにより、荷物の積み込み動作を少なくするレイアウトとした。ベース車のタントは子育て層に向けて機能性を追求したのに対し、ムーヴ キャンバスは「子育て中のユーザー以外の使い勝手に重点を置いた」(同氏)。
ダイハツ工業で女性向けのデザインの軽自動車としては「ミラ ココア」があるが、「ミラ ココアは、スライドドアがなく、荷物の積み込みやすさもムーヴ キャンバスには劣るため、親世代が求める機能性に対応しきれていない」(同氏)という。
安全装備として、ステアリング連動ヘッドランプを軽自動車として初めて採用した他、ダイハツ工業として初めて、サラウンドビュー機能「パノラマモニター」をメーカーオプションに設定し、幅広い世代の使いやすさに応える。
街乗りを想定、だからターボは設定しない
ムーヴやタントにはターボエンジンの設定があるが、ムーヴ キャンバスはNAエンジンのみとした。「街乗りが主体と想定している」(大澤氏)ためだ。
車両の基本性能も街乗りでの扱いやすさを目指した。アンダーボディーの補強やステアリングの制御、ブレーキの効きなど、街乗りで安心感が持てる運動性能を実現したとしている。
また、他のラインアップと同様に、燃費改善技術「e:Sテクノロジー」を搭載した。フロントフェンダーやバックドア、スライドレールカバーを樹脂化した他、高着火スパークプラグや低フリクションエンジンオイルなどを採用。衝突回避支援システム「スマートアシストII」も搭載する。
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