ロボット治療機器の国内レンタル開始:医療機器ニュース
CYBERDYNEは、世界初のロボット治療機器「HAL医療用下肢タイプ」のレンタル販売を開始すると発表した。緩徐進行性の神経・筋疾患の進行を抑制し、歩行改善効果を示す治療ロボットで、一般の公的医療保険が適用できる。
CYBERDYNEは2016年8月16日、世界初のロボット治療機器「HAL医療用下肢タイプ」(HAL医療用)のレンタル販売を、2016年8月下旬から開始すると発表した。
HAL医療用は、緩徐進行性の神経・筋疾患の進行抑制治療で歩行機能の改善効果が示された新医療機器として、2015年11月に厚生労働省から製造販売承認を取得した治療ロボットだ。
装着者が身体を動かそうとすると、脳から脊髄〜運動ニューロンを介して筋肉に神経信号が伝わり、筋骨格系が動作する。同機器は、この時の脳・神経系由来の微弱な生体電位信号(BES)を皮膚表面から検出する。
また、装着者の状態や関節の部位に応じて「サイバニック随意制御」「サイバニック自律制御」「サイバニックインピーダンス制御」などの複数の制御モードを組み合わせることができ、生体電位信号や各種センサーの情報を用いて、各関節に配置されたパワーユニットを駆動させる。これにより、装着者の動作意思に従った動作が可能になる。
このHAL医療用は、2016年4月にロボット治療として世界で初めて一般の公的医療保険の償還価格が決定した。また、同年6月には対象疾患の医学専門家による監修の元、適正使用ガイドが公開されている。
そして今回、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に、製造販売後の安全性と有効性に関する情報を収集し確認するための、使用成績調査に関する計画書を提出。これを踏まえて、レンタル販売の開始に至った。
今後、脳・神経・筋系の機能再生や改善に向けての臨床試験や研究を進め、同機器の適用を拡大していくという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 空気圧手術支援ロボット「EMARO」が早期に製品化できた理由
空気圧アクチュエータを応用した内視鏡ホルダーロボット「EMARO」は、手術支援ロボットとして見ると短期間で開発できた製品といえる。早期に製品化できた背景には、医療機器へのニーズを的確に把握している医師からの提言があった。 - プロジェクションマッピングで神経細胞を刺激するロボット顕微鏡を開発
大阪大学は、動く観察対象を自動追跡し、特定の神経細胞をプロジェクションマッピングによって刺激するロボット顕微鏡を開発し、線虫「C.エレガンス」の複数のドーパミン細胞の性質が異なることを明らかにした。 - 「世界初」空気圧で滑らかに動く手術ロボット、大学発ベンチャーが発売
大学発ベンチャーで先進医療機器を開発するリバーフィールドが、小型・軽量で操作性に優れた内視鏡ホルダーロボット「EMARO(エマロ)」を発表。人間のように柔らかな操作が行える空気圧制御によって、執刀医が助手の補助無しで内視鏡を思うがままに操れるという。 - 「ロボット大国」日本のロボットは世界を席巻できるか
産業用(製造用)に次ぐロボットの用途として有望視されているのが、医療と介護福祉の領域だ。特に後者は高齢者人口増の見込まれていることもあり、今後5年で1兆円近い市場を形成するという予測もある。その中で日本のロボットは存在感を示せるだろうか。 - 装着型ロボット「HAL 医療用」への保険適用が決定
筋ジストロフィー患者などの歩行機能回復を目的とするサイバーダインの装着型ロボット「HAL 医療用(下肢タイプ)」への保険適用が決定した。