セルフサービス型データ分析の事業部門採用が拡大、クリックテックが会見:製造ITニュース(2/2 ページ)
BIツールベンダーのクリックテック・ジャパンが記者説明会を開催。米国本社のQlik Technologiesから、最高財務責任者(CFO)のティム・マッカリック氏が来日し、データ分析の最新動向について説明した。
連想モデルがセルフサービス型データ分析に最適
次に、プロダクト担当のフィッシャー氏が、セルフサービス型データ分析の導入におけるQlik製品の特徴を説明した。
企業や組織に属するユーザーが自身の手でデータ分析を行って、業務を効率的に行えるようにするのがセルフサービス型データ分析である。しかしセルフサービス型データ分析では、各ユーザーのアクセス権限や外部へのデータ提供といったデータガバナンスが課題になる。
フィッシャー氏は「統制されていないセルフサービス型データ分析は無秩序を生む。Qlik製品はセルフサービス型でありながらガバナンスも実現している」と強調する。また、Qlik製品の強みは、独自のデータ分析のモデリングにあるともした。一般的な線形のデータ分析のモデリングとは異なる、独自の「連想(Associative)モデル」がセルフサービス型データ分析に最適だという。
Qlik製品のポートフォリオは、連想モデルを中核とした「QIX連想エンジン」を基盤として、主に情報システム部門が利用している「QlikView」、事業部門での採用が拡大している「Qlik Sense/Qlik Analytics Platform」というアプリケーションがある。また、これらの付加価値サービスとしてレポーティング機能の「Qlik NPrinting」、株価指数や企業財務データなどを拡張する「Qlik DataMarket」がある。Qlik Senseの最新バージョンとなる「Qlik Sense Enterprise 3.0」は2016年6月にリリースされたばかりで、QlikViewは2016年後半に最新バージョンの12.1を投入する計画である。
装置の不良箇所特定にかかる時間を10時間から10分に短縮
記者説明会の最後に、日本法人であるクリックテック・ジャパン カントリージェネラルマネージャーの藤堂正憲氏が登壇した。藤堂氏は「国内外でBI/アナリティクスに対する投資が急速に伸びており、セルフサービス型データ分析で独自のポジションを築いているQlikの採用は好調だ。国内の採用事例を見ても、業種に穴がなく、企業規模も大手から中小まで幅広い。また2016年は、グローバル規模の自動車メーカーや製薬メーカー、製造業からの大型受注が続いている」と述べる。
製造業にとっては、IoT(モノのインターネット)から得られるデータの利活用が大きな課題になっている。藤堂氏は、SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズのプリント基板製造装置における、QlikViewを用いた保守サービスの効率化事例を紹介。これまで装置の不良箇所を見つけるのに10時間かかっていたところを10分で済ませられるようになったという。
またマッカリック氏が紹介したセルフサービス型データ分析について、「Qlikがリードしている市場だ。いわゆるLOB、事業部門が、ITの専門知識を有していなくてもデータ分析を行いたいというニーズをくみ取っている」(藤堂氏)とした。今後は、事業部門のみならず、ホワイトカラーや現場のブルーカラーまで含めて、企業や組織の100%の人員がデータ分析とその利活用を行えるようにしたい考えだ。
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