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ジェイテクト香川工場が挑むIoT活用、生産効率はどこまで高められるのか:スマートファクトリー(4/5 ページ)
自動車のトランスミッションやディファレンシャルギアなどに用いられる円すいころ軸受を生産しているジェイテクトの香川工場。スマート工場を実現するためのIoT活用として位置付ける「IoE(Internet of Everything)」をはじめ、同工場が取り組んでいる生産効率化に向けたさまざま取り組みを紹介しよう。
「IoE」で2つの実証試験
2016年度のIoEを用いた実証試験は2種類ある。1つは「内輪研磨組み立て監視モニタのIoE化」である。IoE適用以前は、ハードワイヤ接続だったので正常/異常というレベルの情報しか取得できず、製造ラインの状態を示すアンドンの表示も同様に単純なものに限られていた。
IoE適用後は、全ての作業者の間で情報共有するのに用いる「作業者アンドン」や、管理者用の「可動モニタ」と「管理者アンドン」から構成される監視モニタを用意した。作業者アンドンは、設備状態と生産情報が一画面で表示され、製造ラインの状態が一目で分かる。可動モニタと管理者アンドンは、管理者が生産性や品質の向上のための分析ツールとして利用できる。また、砥石、電力、エアー、クーラントといった製造ラインを動かすのに掛かるコストの原単位管理も実施している。
もう1つの実証試験は「頻停(頻発停止)ゼロライン」だ。IoE導入前の製造ラインの稼働率は88.3%。稼働していない11.7%のうち7.3%が頻停によるものだ。そして、頻停の原因の7割が検査組み立て工程にあったという。
これら2つの実証試験は「生産ラインの無人化」が最終的な目標となる。完全無人化というよりも「必要な時だけ作業員がいればいい」という考え方だ。
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