ジェイテクト香川工場が挑むIoT活用、生産効率はどこまで高められるのか:スマートファクトリー(3/5 ページ)
自動車のトランスミッションやディファレンシャルギアなどに用いられる円すいころ軸受を生産しているジェイテクトの香川工場。スマート工場を実現するためのIoT活用として位置付ける「IoE(Internet of Everything)」をはじめ、同工場が取り組んでいる生産効率化に向けたさまざま取り組みを紹介しよう。
「つながるソリューション」と「見える化ソリューション」をラインに実装
香川工場は、ジェイテクトにおける円すいころ軸受生産のマザー工場の役割が期待されている。同工場のスローガン「『香川から世界へ発信 技術・品質・コスト』〜自動車用ベアリングで世界No.1を目指す〜」は、そのことを意識したものだ。
同社のスマート工場であるIoEは、工作機械を手掛ける刈谷工場(愛知県刈谷市)から取り組みが始まった。「生産性向上は設備だけではなく人も考える必要がある。だからつなげるのは設備だけでなく人も。モノも人もつなげるから“IoE”であり、設備と共に人が成長する」という考え方が根底にある。
香川工場のIoEは、刈谷工場とは異なる生産品目である、円すいころ軸受の生産に横展開することが目的となっている。IoE適用の初年度となる2016年度は、第1工場で内輪の研磨/組み立てを行っている8つのラインを使って実用試験を行っている。これら8つのラインは、海外にも展開可能なグローバル標準ライン(GSL)でもある。つまり、香川工場におけるIoEの成果は、海外への展開も想定されているのだ。
IoEでは、「つながるソリューション」と「見える化ソリューション」という2つのソリューションを使って、「保全のIoE」「品質のIoE」「生産のIoE」を実現することが目的になっている。香川工場では、多彩な通信機能を持つジェイテクトの産業用コントローラ「TOYOPUC-Plus」と、TOYOPUC-Plusを内蔵する「JTEKT LINK BOX」によって設備の間をつなげて情報を収集している。
ほとんどのPLCやCNCとつなげられるTOYOPUC-Plusは、何らかの通信機能を持つ設備の情報を収集できる。JTEKT LINK BOXは、PLCやCNCを持たない設備からの信号を収集するために用意した。集めた情報はサーバに蓄積して生産性向上の解析などに役立てる他、見える化することで設備に関する情報を作業員の間で共有できるようにする。
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