物流へのIoT適用を考える:トヨタ生産方式で考えるIoT活用(6)(7/7 ページ)
日本型モノづくりの象徴ともいうべき「トヨタ生産方式」。本連載では多くの製造業が取り入れるトヨタ生産方式の利点を生かしつつ、IoTを活用してモノづくりを強化するポイントについて解説していきます。第6回は、グローバル化の進展によって重要度を増している物流でIoTを活用する考え方について説明します。
物流管理にIoTを活用する効果
物流管理にIoTを活用する効果は次の通りです。
1.納入遅延による対策費の防止
仕入先や生産拠点の実力値やインフラ状況に合わせた調達・生産・販売の業務プロセスで安定した物流を行うことにより、納入遅延を防止し、対策費の削減につなげます。
2.物流コストの削減(輸送、保管、荷役、管理)
指標による改善活動を継続し、全体の在庫を圧縮しつつ効率良い輸送を行うことにより、物流コスト(輸送、保管、荷役、管理)全般の削減につなげます。
3.安定供給による顧客満足度の向上
顧客の要求に合わせて欠品のない安定供給を実現することで顧客満足度の向上につなげます。
4.仕入先との信頼関係の強化
仕入先の実力に合わせた発注方式の採用と改善指導により、仕入先とのWin-Winの関係を構築して信頼関係の強化につなげます。
最後にまとめですが、トヨタ生産方式は、国内ではかんばんを中心にした独特の手法で圧倒的に他社よりも在庫を極少化できる、レベルの高い生産管理体制を確立維持してきました。ですが、海外比率の高まりによって、そのやり方も多様化させる時期に来ていると感じます。今回は物流管理の視点で調達・生産・物流に対して各国の事情に合わせた最適な方法を採用する例について説明をしました。
物流管理におけるIoTの活用については以上です。次回はマスタ統合におけるIoTの活用について説明します。
筆者紹介
株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)
NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、
原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。
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