インダストリー4.0では、サプライチェーンを“丸ごと認証”する時代へ進む:製造業×IoT キーマンインタビュー(2/3 ページ)
インダストリー4.0を含むIoTによる製造業のビジネス革新の動きが加速している。IoTによる価値を最大化するためには「つながり」を実現することが最初のステップとなるが、その動きで重要となるのが標準化と認証である。創立150周年を迎える第三者認証機関であるTUV SUD(テュフズード)の会長であるシュテプケン氏と、同社CDOのシュルシンガー氏に、IoTによる製造業の変化とそれに伴う「認証」の考え方について話を聞いた。
国際標準化を狙うドイツの「RAMI4.0」
MONOist ITとOTの差を埋める取り組みとしてどういうものがあると考えますか。
シュルシンガー氏 1つは構成する要素全体をモデル化するリファレンスアーキテクチャモデルなどが重要だと考える。例えば、インダストリー4.0に関しては、ドイツでは実践戦略の一環として「RAMI4.0(Reference Architecture Model Industrie 4.0)」が策定され、国際規格化を進めている※)。その中で推奨する通信プロトコルの1つとしてOPC-UAが示されるなど、個々の技術の標準化などにも貢献している。
※)関連記事:インダストリー4.0がいよいよ具体化、ドイツで「実践戦略」が公開
MONOist 「RAMI4.0」は工場全体やサプライチェーン全体などのバリューチェーン全体を示すアーキテクチャモデルです。認証機関として、工場全体やサプライチェーン全体を「安全な工場だ」というように認証するということは可能なのでしょうか。
シュルシンガー氏 今すぐには、そこまで広範な範囲を認証として保証していくことは無理だ。ただ現在でもある一部を切り取って、1つの技術だけではなく範囲や機能として認証することは行っている。セキュリティや安全性などだ。将来的にはこうした幅広い領域全体を保証できるように、われわれとしても体制を整えていく。
CDO(Chief Digital Officer、CIOが社内の情報システムを対象としているのに対しICTを活用して自社のサービスや製品を高める戦略を担当する)職を設置した他、デジタル領域における2つのセンターオブエクセレンス(中核的研究拠点)を設置。新たなニーズに応じた認証が行えるようにしていく。
具体的には、相互運用性を確保していく他、機能が複合するモジュラー化の動きに対する認証、人と協調して働けるロボット(CoBot)などの領域で研究を進めていく。
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