“自動車業界の共同開発部門”が1年以内に車載Linuxから生み出したものとは:車載ソフトウェア Automotive Grade Linux インタビュー(2/2 ページ)
Linux Foundation傘下で車載システム向けのLinuxディストリビューションを開発しているAutomotive Grade Linux(AGL)の活動が活発化している。Linux Foundation 自動車部門ジェネラルマネージャーのDan Cauchy氏に、リリースしたばかりの新バージョンの内容や、今後の開発方針などについて聞いた。
AGLの周囲を取り巻く自動運転やGoogle、Apple
MONOist AGLメンバーには日系の自動車メーカーやサプライヤが多い。
Cauchy氏 AGLはもともとトヨタ自動車がベースとなり、パナソニックやデンソー、アイシン精機などトヨタ自動車と取引の多いサプライヤが参画してきた背景がある。そのため日系の色が強い。AGLと協力関係にある、車載情報機器オープンプラットフォーム開発を目指す団体・GENIVIアライアンスは、BMWとインテルが立ち上げたので、ドイツをはじめとする欧州の自動車メーカーやサプライヤが中心メンバーになっている。
時間がたつにつれて、AGLへの参加社数は順調に伸びている。例えば、Ford Motorや現代自動車が参加を決めたし、今後1年以内に欧州の自動車メーカーが新たに加入する見通しだ。
さらに、非常に良い兆候として、欧州のメガサプライヤであるContinentalや、車載情報機器のネットワーク関連で高い技術を持つMicrochip TechnologyがAGLを選んだ。欧州への広がりを期待している。
MONOist AGL、GENIVI、TIZENのフラグメンテーションは解消されていくか。
Cauchy氏 時間の問題だろうが、最終的にはAGLがベースになっていくと考えている。TIZENは開発が止まっているし、GENIVIはミドルウェアなどのコンポーネントを中心に開発しており、ディストリビューションは手掛けないという方向性だ。最終的にGENIVI自体がAGLを基盤のディストリビューションとして採用していくことになるのではないか。
MONOist 制御系車載システムのソフトウェア標準化団体であるAUTOSARと協調してADASに対応していく考えは。
Cauchy氏 AUTOSARとは公式には連携していないが交流はある。具体的なことは何も決まっていない。必要があれば、協力していきたい。
MONOist 自動運転に関して、自動車業界以外ではGoogleが積極的だ。
Cauchy氏 Googleとは何も話していない。2017年くらいには自動運転への対応を検討をし始めることになると思うので、必要に応じてGoogleと話す。今はまず車載情報機器向けに注力しているので、自動運転はその後になるだろう。
クラスタ、ディスプレイ、コネクテッド化が次に取り掛かっていく分野になる。AGLメンバーでもオラクルやNTTデータなど、興味を示している企業は多い。順次対応していく。
MONOist AGLはAppleの「CarPlay」やGoogleの「Android Auto」をどう取り入れていくのか。
Cauchy氏 Android AutoやCarPlayは単純なプロトコルで、スマートフォンの画面を車載情報機器側に投影する技術でしかない。Android AutoやCarPlayがあっても、ダッシュボードにさまざまな機能が必要になるので、自動車メーカーは他のソフトウェアを作らなければならない。
AGLはオープンソースの規格だ。AppleやGoogleと契約して製品を展開する役割は持っていない。メーカーが自分の判断で使って行きたいのであれば、AGL上でAndroid AutoやCarPlayが動く環境を作っていくのは全く構わない。
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