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“自動車業界の共同開発部門”が1年以内に車載Linuxから生み出したものとは車載ソフトウェア Automotive Grade Linux インタビュー(1/2 ページ)

Linux Foundation傘下で車載システム向けのLinuxディストリビューションを開発しているAutomotive Grade Linux(AGL)の活動が活発化している。Linux Foundation 自動車部門ジェネラルマネージャーのDan Cauchy氏に、リリースしたばかりの新バージョンの内容や、今後の開発方針などについて聞いた。

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 2016年7月13〜14日に開催されたLinuxベースの車載情報機器関連のオープンソースプロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」の開発者向けイベント「Automotive Linux Summit 2016」では、Automotive Grade Linux(AGL)が策定した車載システム向けのLinuxディストリビューション「AGL UCB(Unified Code Base)」のバージョン2.0(UCB2.0)が公開された。

 11カ月前にはUCB1.0さえ存在していなかったという状態から、UCB2.0はCANバスからHVACや車載情報機器を操作できるようにした。自動車メーカーやサプライヤが2〜3年の開発期間を要するという工程を、“自動車業界の共同の開発部門”であるAGLは11カ月で終わらせた。

 そこで、AGLの活動を統括しているLinux Foundation 自動車部門ジェネラルマネージャーのDan Cauchy氏に、UCB2.0の変更点や将来リリースするUCB3.0の方針などについて聞いた。

後部座席向けの動画再生HVACの温度制御 Automotive Linux Summit 2016で行ったデモンストレーション。後部座席向けの動画再生(左)やHVACの温度制御(右)といったシステムを11カ月間で開発した (クリックして拡大)

UCB2.0でできるようになったこと

Linux FoundationのDan Cauchy氏
Linux FoundationのDan Cauchy氏

MONOist UCB2.0での変更点は。

Cauchy氏 まず、オーディオ関係のミキシングが変わった。音楽やラジオが流れている時にカーナビゲーションシステムの音声案内が入ると、既存の音楽の音量を自然に小さくし、バックグラウンドで再生しながら優先度の高い音声案内を重ねるようにする。この機能をコードの一部として提供を始めた。

 複数のBluetoothデバイスのペアリングや、BluetoothとWi-Fiの間でデータ接続の切り替えにミドルウェアの一部として対応したConnMan(コマンドラインのネットワークマネージャー)によるネットワーク管理も変更点だ。また、バスメッセージングでは、速度やタイヤ空気圧などの情報を取得できるようになり、セキュリティも一新した。認証済みのアプリケーションしかアクセスできないようにコントロールしている。

MONOist セキュリティフレームワークも搭載する。

Cauchy氏 UCB2.0にはバスメッセージングしかないが、UCB3.0ではロバストアプリケーションコントロールが加わる。USBポートにアクセスできるのはオーディオ系のアプリケーションだけで、ナビゲーション系にはアクセスできないようにコントロールしたりするように拡張していく。

MONOist UCB3.0の構想は。

Cauchy氏 UCB3.0では新しい機能が追加されていく。AGLは自動車業界の共通の開発部門のようなもので、使える機能や新しいフレームワークをどんどん出していくのが役割だ。ただ、提供するのはそのまま製品に使えるものではなく、7〜8割までは出来上がっているものだ。これをベースに味付けしてメーカーなりの個性を出していっていただきたいと考えている。

 UCB3.0の内容はまだ最終的には決定していないが、優先順位が高いのはBluetoothによる車載情報機器とスマートフォンのペアリングだ。UCB2.0には開発が間に合わなかった。それとスマートデバイスリンク(SDL)、ロバストアクセスコントロール、ソフトウェア開発キット(SDK)も載せていこうと考えている。

MONOist UCB2.0からRaspberry Piをサポートする狙いは。

Cauchy氏 Raspberry Piは安価なボードなので誰でも入手しやすい。AGLをダウンロードして、SDKを使いながらどんどん新しいアプリケーションの開発に参加してほしいと考えている。もちろん、自動車向けのボードではないので機能的な制限はあるが、面白いアプリケーションをつくるには十分だろう。

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