医療機器関連でも域内統一化に向けたルール改正が集中するEU市場:海外医療技術トレンド(17)(3/3 ページ)
2016年6月23日(欧州時間)に実施された国民投票で欧州連合(EU)離脱を選択した英国とは裏腹に、EU全体の医療機器関連市場では、域内ルールの統一化に向けた準備作業が同時並行で進んでいる。
日本と欧州の規制の仕組みの違いを再確認しよう
表1は、厚生労働省の「臨床研究に係る制度の在り方に関する報告書」(2014年12月11日)より、日本と欧米の臨床試験制度の現状を比較したものだ(関連情報、PDFファイル)。
日本では、治験と臨床研究を区別し、前者には「医薬品医療機器等法」、後者には「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(関連情報)が適用される仕組みになっているのに対し、欧米では、治験であるか否かに関わらず、臨床研究/臨床試験を一律規制している。半面、治験/臨床研究/臨床試験に関するルールについては、医薬品と医療機器の区別なく適用されるのが、日本の通例だ。
日本でも、医薬品と医療機器を組み合わせた、新しいタイプの医療製品開発をめざす企業が増えている。臨床開発の段階で規制対応を誤ると、大きな時間のロスとなりかねないが、日米欧間のギャップを逆手にとってうまく生かせれば、製品戦略を加速させることもできる。今後、日本の医療機器業界では歴史の浅いメディカルアフェアーズ部門が果たすべき役割も大きい。
筆者プロフィール
笹原英司(ささはら えいじ)(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)
宮崎県出身。千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク/コンプライアンス関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所等でビッグデータのセキュリティに関する啓発活動を行っている。
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