開設後3カ月の真新しいテストコースで、ホンダセンシングの実力を試す:自動運転技術(4/4 ページ)
ホンダが2016年4月に先進安全技術の開発のために新設した「栃木プルービンググラウンドさくら」。真新しいテストコースでホンダセンシングの実力を試した筆者のレポートをお送りする。
車線逸脱を防ぐ制御に違いが
そして3つ目に、「路外逸脱防止機能」を体験した。テストでは、直線路で停止状態から時速80kmまで加速して定速走行し、路肩方向にとても少ない舵角で操舵し、車線をはみ出そうと試みた。この時、単眼カメラが白線を認識し、自動操舵によって路外逸脱を防止した。
こうした機能は他社も単眼カメラまたはステレオカメラを用いて搭載しているが、ホンダセンシングの特徴は、白線内をピンボールのように行ったり来たりしないことだ。
路外逸脱を防止して本線へ誘導した後に車線の中央に車体を誘導するのではなく、しばらくの間は逸脱しそうになった白線に近い位置で白線に対して並行して走行する。また、直線路だけでなく、曲率の大きなカーブでも作動し最大で230Rまでカバーする。
なお、同機能は、日本市場では時速60〜110kmで作動するが、仕向け地の交通環境に応じて設定速度域を変えているという。
ホンダセンシングの延長にある自動運転
ホンダセンシングの先にあるのは自動運転だ。本田技術研究所 執行役員の相田圭一氏の説明によると、ホンダは衛星測位と高精度三次元地図によって自車位置を認識し、ステレオカメラ/長距離レーダー/中距離レーダー/そしてレンジファインダー(ライダー)によるセンサーフュージョンで外界を認識すると紹介。
これらのデータを基に行動計画を立てるという。将来状態の予測と予定軌道の最適な選択によって「滑らかな走行ライン」と「衝突しない走行ライン」を考慮しながら「最適な走行ライン」を計画する。そこから算出された予定軌道に対して、車両を制御し、走る(パワートレイン)/曲がる(ステアリング)/止まる(ブレーキ)のアクチュエータを作動させる。
試乗後のディスカッションで、筆者は「2016年5月末に、政府の戦略的イノベーション創造プログラムが取り組む自動運転(SIP-adus)に関して、ロードマップがかなり前倒しされた。ホンダとして今後どのように対応するのか」と聞いた。これに対し、自動運転技術の開発を担当する、第12技術開発室の関係者は「われわれは、日本自動車工業会が策定したロードマップに準拠しており、(SIP-adusの)変更に直接的に対応する予定はない」と回答した。
試乗の途中で、この地域特有の雷と集中豪雨に見舞われ、一時的に試乗が中断したが、全体プログラムは予定より30分程超過して午後5時半頃に無事終了した。今回、ホンダの先進安全技術の全体像を知る、貴重な体験となった。
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