アルパインが車載システム開発に「Watson IoT」を活用、快適なドライブの実現へ:車載情報機器
アルパインと日本IBMは、自動運転時代を見据えた次世代車載システムの開発に着手したと発表した。アルパインの車載機器とIBMの自動車業界向けIoTソリューション「Watson IoT for Automotive」を組み合わせることで、ドライバーや同乗者に合わせて快適なドライブを提供するシステムになるという。
アルパインと日本IBMは2016年7月26日、自動運転時代を見据えた次世代車載システムの開発に着手したと発表した。アルパインの車載機器と、IBMの自動車業界向けIoTソリューション「Watson IoT for Automotive」を組み合わせ、多様でダイナミック(動的)な情報を活用しながら、ドライバーや同乗者に合わせて快適なドライブを提供するシステムになるという。
次世代車載システムの機能例として、ドライバーの運転志向や傾向にあった経路を学習してのルート案内などを挙げている。さらに、ソーシャル情報や嗜好を分析することによる経由地/目的地の提案といった活用も検討中だ。「多様化するニーズに対応することにより、日常の生活スタイルと車室内をシームレスにつないで人々のカーライフを自然な形で支援する」(両社)としている。
同日東京都内で開催されたWatson IoT事業ビジネス説明会では、自動車業界向けに展開を強化しているWatson IoT for Automotiveについて説明した。日本IBMはこれまでに、ホンダのF1レースカー開発(関連記事:ホンダのF1パワーユニットが「IoT」に、IBMが協力)や、富士重工業の高度運転支援システム開発(関連記事:次世代「アイサイト」は人工知能「Watson」を活用へ、富士重工業とIBMが協業)への採用を発表している。今回の会見で明らかにしたアルパインの採用事例がさらに加わった格好だ。
会見では、人工知能「IBM Watson」を乗客向けインタフェースに用いた、小型電気バス「Olii」の事例を紹介。Local Motors(ローカルモーターズ)製の3Dプリンタを活用した自動運転バスで、ワシントンDCや、マイアミ、ラスベガスなどで実証試験を始めているという。
またWatson IoT for Automotiveの機能として、車両の運転動作に関する情報を収集する以外に、交通関連情報を集めて地図上に展開するコンテキストマッピングなどを提供しているとした。「さまざまな情報を動的にマッピングするソリューションも今後提供する予定」(日本IBM Watson IoT 事業部 事業部長の林健一郎氏)である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 次世代「アイサイト」は人工知能「Watson」を活用へ、富士重工業とIBMが協業
富士重工業と日本IBMは、高度運転支援システム分野における実験映像データの解析システムの構築と、クラウドおよび人工知能技術に関する協業検討について合意した。 - ホンダのF1パワーユニットが「IoT」に、IBMが協力
日本IBMは、同社の自動車業界向けソリューション「IoT for Automotive」が、ホンダのF1レースカー向けパワーユニットのレーシングデータ解析システム基盤に採用されていることを明らかにした。 - アルパインが中国市場攻略へ、現地大手ITサービス企業と合弁
アルパインは、中国の大手ITサービス企業であるNeusoftなどと、インテリジェント化する自動車に対応可能な車載ソフトウェア開発を行う合弁企業の設立に向けた契約を締結した。新会社の社名は、東軟睿馳汽車技術有限公司で、2015年8月中に設立する予定である。 - 富士通テンとアルパインが車載プラットフォームを共同開発、2016年にも製品化
富士通テンとアルパインが車載プラットフォームの共同開発することで基本合意した。同プラットフォームを用いた製品を2016〜2017年に市場投入することを目標としている。 - 拡大するカーナビの開発規模、協業による効率化が必須に
現在、カーナビゲーションシステムには、その本来機能に加えて、エンターテインメント機能、自動車の走行系との連動を実現する協調機能、無線通信によるテレマティクス機能などを統括する車載情報端末への進化が求められている。一方で、PNDの登場と昨今の景気悪化が重なり、低価格化への要求も厳しい。カーナビ大手のアルパインで技術開発統括担当 専務取締役を務める宇佐美徹氏に、カーナビメーカーを取り巻く現状と、今後の製品開発の方向性について語ってもらった。 (聞き手/本文構成:朴 尚洙)