Watson IoTで「自動車」や「産業機器」を支援、IBMが業界特化ソリューション:製造ITニュース
日本IBMが「Watson IoT」を利用した業界特化ソリューションを展開する。IoT実現に欠かせないパートナーとの関係を強化するパートナープログラムも開始する。
日本IBMは2016年7月26日、「Watson IoT Platform」を利用する企業を対象としたパートナープログラム「Watson IoT Platform パートナーエコシステム」を開始した。参加企業に対してはソリューション提案といった販促活動の支援や技術支援の他、各種トレーニング、マーケティング支援などが行われる。
同社は2016年3月にWatsonとIoTの組み合わせによるビジネス加速を提案する「Watson IoT 事業部」を設立、業界に特化したソリューションの提供を開始しており、三菱電機(FA分野)やソフトバンク(家電および住宅関連機器分野)、ミネビアならび千葉大学(医療機器分野)などとの協業を発表している。
同社は国内IoT市場について、2014年の5.4兆円から2020年には13.8兆円へと成長すると見込んでおり、2020年の規模は日本IBMが現在、メインとするITビジネスに匹敵するとしている。中でも、M2Mという“波”を経験している製造業ではIoT導入が大きく進むと予想している。
拡大するIoT市場に対応すべく日本IBMが選んだ戦略は、業界に特化したソリューションをパッケージ的に提供する方法であり、まずは「自動車」「エレクトロニクス(家電製品)」「保険」「産業機器」「小売り」「通信」の6分野に焦点を合わせ“Watson IoT for Solution”として提供する。
既に自動車向け「Watson IoT for Automotive」は部分的に提供開始されており、最終的にはコネクティッドカーで用いられるサーバサイドでのリアルタイム処理や履歴情報の分析、地図管理、地図に基づくデータ分析などが提供される予定だ。
業界特化のWatson IoTソリューションについてはシステム導入というカタチではなく、パートナー企業との提携/連携によって導入される。「日本IBMがエンドデバイス側を提供するわけではない。デバイスやセンサーを持つ企業と協業していく。“Watson IoT for Solution”という部品を提供するイメージだ」(同社 Watson IoT 事業部 事業部長 林 健一郎氏)
パートナープログラム「Watson IoT Platform パートナーエコシステム」については既にアーム、アルパイン、アルプス電気、イサナドットネット、AIT、京セラ、ジェーエムエーシステムズ、ジェナ、セイノー情報サービス、日本テキサス・インスツルメンツ、日本情報通信、ぷらっとホーム、プロドローン、マクニカ、三菱電機、ユビキタス、リコーの17社が参加を表明しており、日本IBMでは2016年の「加盟企業100社」を目標に掲げている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「コグニティブ」で国内が産学連携、「2019年度までに何らかの成果」
情報・システム研究機構 国立情報学研究所は、新たな研究部門「コグニティブ・イノベーションセンター」を設立した。人工知能にとどまらない幅広い要素技術を融合した知的情報処理によって技術革新を起こすことを目指す。日本IBMが研究を支援する他、一般企業も参画して2019年度までに何らかの成果を上げる。 - Watson IoT事業のグローバル拠点をドイツ・ミュンヘンに開設
IBMは、同社のWatson IoT事業のグローバル拠点とWatsonイノベーション・センターを、ドイツのミュンヘンに開設すると発表した。 - 製造業で人工知能はどう使うべきなのか
日本IBMとソフトバンクは、自然対話型人工知能「ワトソン(Watson)」の日本語版の提供を開始する。自然言語分類や対話、検索およびランク付け、文書変換など6つのアプリケーションをサービスとして展開する。 - 明日の出荷は“人工知能”との対話で決めろ! クラウド型「ワトソン」提供開始
IBMは新たに自然対話型人工知能「ワトソン」によるデータ分析をクラウドサービスとして利用可能な「IBM Watson Analytics」の提供開始を発表した。 - 「新製品何作る?」をコンピュータに聞く時代――IBM事業戦略説明会
日本IBMは事業説明会を開催し、世界のCクラス役員がより「テクノロジー」を重視する時代であることを強調。同社の事業方針を説明した他、最新技術の事例を紹介した。