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高齢者医療における安全な漢方薬治療ガイドラインを初めて作成医療技術ニュース

東北大学は、世界で初めて、科学的根拠に基づいた漢方薬に関する高齢者の診療ガイドラインを作成した。一般診療における漢方治療の手引きとなるもので、同ガイドラインによって、漢方薬の適正使用が広がることが期待される。

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 東北大学は2016年7月1日、世界で初めて、科学的根拠に基づいた漢方薬に関する高齢者の診療ガイドラインを作成したと発表した。同大学病院漢方内科の高山真准教授らのグループが、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」の漢方薬治療の章を担当し、作成したものだ。

 現在、かかりつけ医の94%以上が漢方薬を処方していると報告され、高齢者にも漢方薬が処方されることが多くなっている。また、漢方について信頼性の高いランダム化比較試験などによる臨床研究が、多数行われるようになってきた。しかし、それらの臨床研究を吟味して論文の内容を評価し、これに基づいて診療ガイドラインを作成するという試みはこれまでなされていなかった。

 今回、研究グループは、科学的根拠に基づいた診療ガイドラインを作成するため、世界的に普及しているGRADEシステム(エビデンスの質と推奨の強さを系統的にグレーディングするアプローチ方法)を取り入れ、英文・和文の医学誌の検索システムを用いて論文内容を吟味し、評価した。

 さらに、薬剤効果のバランスやコストなども勘案して、「高齢者に有用性が示唆される我が国の医療用漢方製剤のリスト」を作成。また、厚生労働省から出された「使用上の注意」のほか、伝統学や薬理学の知見など種々の根拠に基づいて「高齢者に漢方を使用する際注意を払うべき含有生薬のリスト」も作成した。これらは、漢方を専門としない一般医家が、高齢者に漢方を処方する際に知っておくべき情報のリストとなる。

 同ガイドラインでは、漢方を専門としない医師が必要に応じて漢方専門医に相談することなども明確化された。これにより、今後、漢方薬の適正使用が広がることが期待される。

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