コネクテッドカーの業界標準に向けて前進、HEREのロケーションクラウド:自動運転技術
HEREは、走行中の車両のセンサー情報をクラウドで収集する規格「SENSORIS」のユニバーサルデータフォーマットの設計を、欧州のITS(高度道路交通システム)官民連携組織であるERTICOに提出した。HEREとERTICOは、SENSORISを業界標準のインタフェース規格として発展させる取り組みを強化していく。
HEREは2016年6月29日(現地時間)、走行中の車両のセンサー情報をクラウドで収集する規格「SENSORIS」のユニバーサルデータフォーマットの設計を、欧州のITS(高度道路交通システム)官民連携組織であるERTICOに提出したと発表した。HEREとERTICOは、SENSORISを業界標準のインタフェース規格として発展させる取り組みを強化していく。
SENSORISはHEREが2015年6月に発表したロケーションクラウドの規格で、車両のセンサー情報をクラウドに収集する方法を定義している。車両からセンサー情報を収集/蓄積することは、リアルタイムな道路状況や障害物への注意喚起などをドライバーに伝えるモビリティサービスや自動運転において重要な技術だという。
人間の眼やセンサーで検知しきれない範囲で起きている情報を得ることは運転行動の最適な意思決定に役立つが、さまざまな車種でこうしたサービスを実現するには、共通のフォーマットでセンサー情報を取り扱う必要がある。HEREは当初からSENSORISをオープンでグローバルな規格とする計画で開発に取り組んできた。
ERTICOの傘下には自動車メーカーやサプライヤが参加する「SENSORIS Innovation Platform」があり、SENSORIS採用を推進している。加盟企業は、日本のアイシン・エィ・ダブリュとパイオニアの他、Robert Bosch、Continental、Daimler、Elektrobit、Harman、LG Electronics、Navinfo、TomTom、そしてHEREの11社。今後も加盟企業が拡大すると見込んでいる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- アウディもBMWもダイムラーも欲しがる高精度地図データの雄、HEREの現在地
HEREは、高精度な3次元地図データをはじめ、自動運転車を実用化する上で重要な技術を持つ企業だ。配車サービスのUberや、アウディ、BMW、ダイムラーの3社連合が買収に名乗りを上げるなど注目を集めているが、そのHEREの現在の事業展開はどのようなものなのか。同社のアジア太平洋地域担当本部長を務めるマンダリ・カレシー氏に話を聞いた。 - アウディとBMWとダイムラーが3社連合でHEREを買収した理由
アウディ、BMW、ダイムラーのドイツ自動車メーカー3社連合が、ノキアの100%子会社で地図情報サービス大手のHEREを買収した。HEREを詳しく取材してきた桃田健史氏がその理由をひも解く。そして今回のHERE買収は、今後数年間で起こるであろう、自動車産業の構造大転換のプロローグにすぎないという。 - パイオニアがアウディBMWダイムラーに買収されたHEREと提携、自動運転向け地図で
パイオニアと地図データ大手のHEREは、自動運転・高度運転支援向け高度化地図の活用について協議を進めることで合意した。国内向けのみならずグローバルでの提携が前提となる。 - 自動運転に必要な高精度地図データ、デトロイト市街地で提供へ
PND(Personal Navigation Device)や地図データサービスなどを手掛けるオランダのTomTomは、デトロイトの市街地周辺(Metro Detroit)向けに自動運転技術に対応する高精度地図データを提供する。 - 日本で自動運転システムを実用化するために解決すべき5つの課題
自動運転システムの開発を目指す「SIP-adus」では、日本国内で自動運転車を実現する上で解決すべき5つの研究開発テーマを設けている。また、2020年に東京で、自動運転システムを利用した次世代公共交通の実現を目指すことも目標に掲げている。