プラットフォーム化を進めるIVI、製造業の新たなエコシステム構築へ:スマートファクトリー(2/3 ページ)
設立から1年が経過した「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」は、一般社団法人化し“日本版インダストリー4.0”実現に向けた取り組みをさらに本格化させる。従来の“緩やかな標準”作りに加え、製造業のサービス化なども含めた“プラットフォーム化”に取り組み、日本ならではの成功モデルの創出を狙う。
製造業のサービス化を見据えたプラットフォーム化
IVIの2016年度の取り組みで、最も大きな変化がプラットフォームへの取り組みである。
理事長の西岡靖之氏は「従来IVIでは現場に即した取り組みを中心に考えてきた。しかし、日本のモノづくりを次世代に残していくためには、製造業のサービス化の動きなども取り込んでいく必要があると考えた。さまざまなものがつながることを考えればつながることを簡単にするプラットフォームが必要で、その部分をIVIが担っていかなければならないと感じた」と述べている。
製造業のサービス化とは、製品をモノとして提供するのでなく、サービスとして提供するということだ。「モノ」売りから「コト」売りへなどともいわれるが、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)などの活用により、モノが生み出す価値そのものを可視化できるようになり、サービスとして提供できるようになる※)。GEやロールスロイスなどの航空機エンジンが先行しているとされるが、工場内の作業についてもサービス化は進むと見られている。そのためIVIでもサービス化を前提とした、緩やかな標準を組み合わせたプラットフォームの創出を進めていく。
※)関連記事:製造業は「価値」を提供するが、それが「モノ」である必要はない
4つのプラットフォームコンポーネント
具体的には、プラットフォームコンポーネントとして「デバイス」「インフラ」「ツール」「アプリ」の4つを設定し、これらのプラットフォームコンポーネントを組み合わせることでIVIプラットフォームを作っていく。ただ、プラットフォームの策定になるとビジネスモデルと深く関係性が出てくるために、囲い込みなどが生まれる可能性がある。そこで、IVIではプラットフォームの要件などを設定する。プラットフォーム要件としては以下のような項目を想定しているという。
- IVIプラットフォームは、プラットフォームコンポーネント(PFC)を限定してはならない。特定のPFCしか接続できない仕様であってはならない
- IVIプラットフォームはデータの所有者をユーザーとして定め、必要な場合はデータをユーザー(管理者)からアクセス可能としなければならない
- IVIプラットフォームは、その外部仕様と接続仕様をオープンとし、プラットフォーム間でのデータ交換および移管を可能としなければならない
- IVIプラットフォームは提供可能なデータのセキュリティレベルを明らかにし、その範囲内で信頼性を保証しなければならない
- IVIプラットフォームは、あらかじめ定めた特定のユーザー以外にはデータを開示してはならない。データを二次利用する場合は、一次データとの対応が取れないことを保証しなければならない
これらの要件を決めることで、企業間で協力をし、「つながる工場」「つながるサービス」が実現しやすい環境を作り上げる。また、プラットフォーム要件の検証方式としては自己宣告で行う「自己宣言方式」、IVI側が書類上確認する「形式検査方式」、実際にシステムを稼働して判断する「実証試験方式」の3つを用意する。
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