「広範で深みのあるポートフォリオで競合に対抗」、TIは車載事業で4分野に注力:車載半導体
Texas Instruments(TI)は、車載半導体事業において、ADAS(先進運転支援システム)、ハイブリッド車(HEV)/電気自動車(EV)パワートレイン、ボディー/ランプ、インフォテインメント/クラスタの4分野に対して、アナログICやマイコンをはじめ約2000点という幅広い車載向け認定済み製品を展開する方針を示した。
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2016年6月16日、東京都内で会見を開き、同社の車載半導体事業について説明した。ADAS(先進運転支援システム)、ハイブリッド車(HEV)/電気自動車(EV)パワートレイン、ボディー/ランプ、インフォテインメント/クラスタの4分野に対して、アナログICやマイコンをはじめ約2000点という幅広い車載向け認定済み製品を展開する方針を示した。
会見に登壇した、米国本社Texas Instruments(TI)のオートモーティブ・システムズ ゼネラル・マネージャを務めるハインツ・ピーター・ベッケンマイヤー(Heinz-Peter Beckemeyer)氏は「自動車1台当たりに搭載される半導体の金額は、1990年の62米ドルから、2015年には約5倍の309米ドルに増加した。さまざまな半導体製品をそろえる当社にとって、車載分野への展開を厚くしていくことは重要だ。実際に、ここ数年でみても、車載分野は最も高いレベルで成長している」と語る。
約2000点の車載向け認定済み製品を、注力する4分野で効率よく展開する上で重視しているのがリファレンスデザインの「TI Design」だ。車載向けのTI Designは。既に280以上の車載サブシステムを対象として用意されており、今後も増えて行く見込みだ。
期待の製品の1つとしてベッケンマイヤー氏が紹介したのが、自動車への搭載が増えているモーターの回転数を検知するレゾルバ−デジタルコンバータIC「PGA411-Q1」である。PGA411-Q1は、複数のアナログICなどで構成していたレゾルバの回転数を検知する回路を1個のICに集積したことを特徴とする。10個の外付け部品や従同部品を削減でき、基板の実装面積も最大で半減できるという。自動車向け機能安全規格であるISO 26262の安全要求レベルで最も高いASIL Dを満足するような診断機能や冗長化機能なども有している。
買収しないTIは競合に対抗できるのか
ここ数年で半導体メーカー各社は、事業買収や企業合併などによって車載半導体事業を強化する動きを見せている。その一方でTIは、2011年にNational Semiconductorを買収して以降、大型の事業買収は行っていない。この状況についてベッケンマイヤー氏は「TIは車載分野でも広範で深みのあるポートフォリオを既に有しており、今後に向けた製品開発も怠りなく進めているので、競合企業に十分対抗していける」と述べている。
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