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無償3D CAD「FreeCAD」でリンク機構の設計に挑戦!:無償3D CADレビュー(5/5 ページ)
今回は設計公式を基にリンクの動作を計算する方法と、FreeCADの編集機能を使った設計を紹介する。今回のテクニックを応用すれば干渉チェックも可能だ。Excel計算シート付き!
最後に、回転中心と搖動中心を拘束します。回転中心の点と原点(赤色で示されたx軸と緑色で示されたy軸の交点)とをマウスで選択し、図8ツールバー赤い丸で囲まれたアイコン(左側は水平変位を拘束、右側は垂直変位を拘束)を選択し、回転中心を原点に拘束します。「メニューバー→Sketch→スケッチャー拘束→水平変位を拘束/垂直変位を拘束」でも行えます。
同様にして、搖動中心をx軸上に拘束します(水平方向は直線長さで拘束されているため、垂直方向の拘束のみ)。
この状態で、直線や接点をマウスで選択して、ドラッグすると、図9に示すように、拘束条件を満足するように形状が変化します。
以上の操作は編集状態にあるため、CADデータを保存あるいはFreeCADを終了するには、コンボビューのタスクタブで、Closeをクリックしてください。逆に、保存したCADデータを開いた場合は、図10に示すコンボビューのモデルタブでSketchをダブルクリックしてください。
今回は、リンクのみの作図でしたが、周辺の部品も入力することで干渉状態を見るといったことも可能です。
以上のFreeCADファイルはこのリンクからダウンロードできます。
参考文献
筆者紹介
伊藤孝宏(いとう・たかひろ)
1960年生。小型モーターメーカーのエンジニア。博士(工学)。専門は流体工学、音・振動工学。現在は、LabVIEWを使って、音不良の計測・診断ソフト、特性自動検査装置などの開発を行っている。
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