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中小企業が気を付けるべき「秘密情報の目的外使用禁止義務」とは?いまさら聞けないNDAの結び方(7)(2/5 ページ)

オープンイノベーションやコラボレーションなどが広がる中、中小製造業でも必要になる機会が多いNDAについて解説する本連載。今回が最終回となります。今回も前回に続き、中堅・中小企業がNDAを結ぶに当たり留意すべき点を説明します。

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NDAにおける二大義務の関係性

 先述した通り、NDAにおける二大義務は「秘密保持義務(開示範囲の制限)」と「秘密情報の目的外使用禁止義務」です。

 「秘密保持義務(開示範囲の制限)」は、いわば秘密情報の「開示範囲のコントロール」のためのものです。

 例えば、大江戸モーターが、CFGモーターズに対し、大江戸モーターの新規開発の小型モーターの技術データ(秘密情報)を開示した場合のことを考えてみましょう。秘密保持義務が最適に規定されていれば、開示を受けたCFGモーターズは、CFGモーターズ内の必要最低限の関係者にのみこの技術テータを開示するにとどめ、それ以外の者やCFGモーターズの外部にこの技術データを漏えいすることができなくなります(この点は前回説明しました)。

やおもて

この技術データは秘密情報に当たるので、限られたメンバー以外には見せることはできないな。


 他方、「秘密情報の目的外使用禁止義務」は、NDAを結んだ「目的の範囲内でしか開示を受けた秘密情報を使用できない」とする義務です。

 例えば、NDAを結んだ目的が「次世代電気自動車用小型モーターの開発を共同で実施することが実現可能か否かの検討」というものであった場合、CFGモーターズは、大江戸モーターから開示を受けた上記小型モーターの技術データ(秘密情報)を、大江戸モーターとコラボ(共同開発)するか否かの検討のためだけにしか使用できません。この技術データを自社のモーター開発に流用することはできないことになります。このように、目的外使用禁止義務を規定する条項は、いわば秘密情報の「使用可能な範囲のコントロール」のためのものです。

やおもて

この技術を生かすと、CFGモーターズのモーター技術も高めることができますね……


えどけん

おっと、今回のNDAの目的は「次世代電気自動車用小型モーターの開発を共同で実施することが実現可能か否かの検討」ですので、この検討以外に用いてはいけませんよ。


やおもて

あー、すいません。そうでした。


 正しいNDAが結ばれていれば、以上のように、秘密情報の使用目的に制限を加えることができるわけです。

目的外使用禁止義務の条項の例

 江戸氏が、CFGモーターズ矢面氏から受け取ったNDAのひな型の第3条3項、第4条には、以下の様な条項が記載されていました。なお、第3条1項、2項は秘密保持義務についての条項となっています。この点は前回説明したので省略します。第4条の第2文に付した下線の理由については追って説明します。ここで、乙は「大江戸モーター」と、甲は「CFGモーターズ」を指しています。

(秘密保持義務など)

第3条 ……(省略)……

 第3項 甲又は乙は、相手方から開示された秘密情報を、本契約の目的の範囲内でのみ用いるものとする。

(開示の範囲)

第4条 前条の規定にかかわらず、甲および乙は、相手方から開示された秘密情報を、自己の役員又は従業員であって秘密情報を知る必要がある者に限り、その必要な範囲内でのみ開示することができる。この場合甲および乙は、当該役員又は従業員に対して本契約により自己が負う義務と同等の義務を順守させるものとし、かつ、当該役員又は従業員の行為について全責任を負う。

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