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マスコミが言う「トヨタ生産方式は重大災害に弱い」は本当なのか鈴村道場(2)(3/5 ページ)

トヨタ生産方式の達人・鈴村尚久氏による連載コラム「鈴村道場」。今回は、重大災害による工場停止をテーマに、製造業が重大災害に対してどう取り組むべきかについて解説する。

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重大災害に備え製造業がやるべきことは何か

 では重大災害に備え製造業がやるべき事について次に解説していきます。

1)複社購買を前提とする。

 先に述べた内容から分かる通り、複社購買を前提とする体制を構築することが望ましいと言えます。そうすることで非常時に代替生産による短期復旧が可能になります。ここで大事なことをお話しします。購買部門の使命は何か? それは「長期安定的にものを調達する」と言うことです。

 最も避けるべきは、

  1. スケールメリットによるコスト価格ダウンだけで飛びつくこと
  2. 目先の入門価格でよいものを提示されて飛びつくこと
  3. 目先の値段だけにとらわれて極端にリードタイムの長いものを買うこと

などです。私は上司から「安いには理屈があるから納得するまで買うな」と教えられてきました。

 複社購買とは同じ品番で複数の会社から調達ができることです。複社購買できない場合でもせめて、生産地は分けるべきです。例えば、東日本と西日本。中国では魏、呉、蜀(編注:魏=華北、呉=華南、蜀=内陸部の意)、インドでは北と南、米国では西海岸、中西部、東海岸といった分け方が理想です。

 ところが、よく複社購買が不可能だという話が出てきます。私は以前、船のエンジンオイルについて「航海の安全確保のため、できない」という説明を受けたことがあります。実際には、これは神話に過ぎなかったことを解き明かしました。

 ぜひ仕入先の営業マンや自社の調達係の言うことをうのみにせず、理論的に検証してご判断ください。意外と、不可能なことが可能になり、そこがコスト低減ポイントになるのです。これについてはまたの機会に解説させていただきます。

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