3D時代といえど、「紙の図面」がまだ必要なのよ――無償2D CADを使ってみましょう:ママさん設計者がやさしく解説「無償2D CAD」(1)(1/6 ページ)
ファブレスメーカーのママさん設計者が2D CADの使い方の基本を解説! 無償2D CAD「DraftSight」を例に、2D CADを使った図面の作成に必要な環境設定、図面作成の基礎などをゆるっと説明する。今回はインストールと環境設定をしていく。
3D時代の今も求められる、紙の図面
モノヅクリストの皆さん、こんにちは!
ちょうど1年前の単発記事になりますが、「ママさん設計者がやさしく教える「部品図の描き方超入門」」では、どこに出しても誤解されない、製図規格にのっとった部品図の描き方の“基礎の基礎”についてまとめさせていただきました。その冒頭でも触れたように、いまや設計現場は3D CADが優勢になりつつある時代です。それは3Dでモデルを作成すれば即座に質量や体積が計算でき、干渉チェックや解析といった機能のおかげで試作期間の短縮化も図れて、モノづくりのスタートである設計段階での「作り込み」に3D CADがとても役立つツールだからです。また、元のモデルデータを流用して変形や加工をして新規部品を設計するといった使い方がカンタンに出来るなど、設計側のメリットが大きいのです。
一方、加工現場ではいまだに紙図面に多くの情報を求めています。特に手動で操作する汎用工作機械での加工では、NCプログラムを必要としないため紙図面だけが頼りですし、NC工作機械の場合でも、作業者が紙図面を見ながら機械にGコードを打込み、プログラムはPCなどで管理するという現場も多いです。とにかくそれ以外の場面でも、材料取りから加工、そして検査が終わるまで、ことごとくついて回るのが紙図面です。
このように加工現場に欠かせない紙図面も、今ではCADを使って描いたものを紙に出力したものがほとんどなので、発注者は加工手配の際に、紙図面(PDF)と2Dデータ(DXFやDWG)をセットで渡すことが随分前から当たり前になっていて、時に3Dモデルデータ(x_tやstepなど)も添付します。これらは出力形態が異なるだけで元は1つのモデルデータですから、紙図面に漏れている細かな寸法を2Dデータから拾うこともありますし、形状確認のために3Dモデルデータを活用したりもします。が、「紙図面>2Dデータ>3Dモデルデータ」の序列はどの加工現場でも変わりません。どんなに計算されつくした完璧な3Dモデルデータでも、それを現物化するためにはやっぱり「図面を描く」ことが必要なのです。
そこで、「3D CADは設計ツール。2D CADは作図ツール」と切り分けて考えてみたいと思います。インストール直後からモデルを作れる3D CADと違って2D CADは作図ツールですから、新規にインストールした場合は、まず先に図面を描くための環境を整える必要があります。これを頑張って自分でやってみることで「加工現場に通用する図面の描き方」の大まかなルールがつかめるのではないかと思います。
そこで今回の連載『ママさん設計者がやさしく解説「無償2D CAD」』では、高性能の無料2DCADソフト「DraftSight」を使って、図面を描くために「これだけはやっておこう!」という必須環境設定を解説しながら、CADを触ったことがない方にも、取りあえず“基本的な図面”が描けるようになっていただくことをねらいに説明していこうと思います。それでは早速始めましょう。
ダウンロードしてみましょう
「Draftsight」(無料版)は、ダッソー・システムズのサイトからダウンロードします。連載開始時点のバージョンは「2016 SP1」となっていますので、本文ではこのバージョンに沿ってお話していきます。旧バージョンのDraftsightをお使いの方とは若干の違いがあるかもしれませんが、ご了承ください。
インストール開始直後にどのタイプをインストールするか尋ねられるので迷わず「無料」を選択して進みます。
後はインストール画面の指示通りにインストールします。ここではダウンロードからインストールまでの詳しい手順は省略します。
- 参考になりそうなサイト:DraftSight 2015のインストール(easy labo)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.