ヒトとICTをつなぐ、富士通の“仲介”ロボット
富士通はユーザーイベント「富士通フォーラム2016 東京」にて、メディエータ(仲介者)ロボット「Robopin」を参考展示した。ロボットとクラウド、ロボットとロボットが互いに連携することで、「人に寄り添うサービス」の提供を目指す。
富士通は同社のユーザーイベントである「富士通フォーラム2016 東京」(2016年5月19〜20日、東京国際フォーラム)にて、メディエータ(仲介者)ロボット「Robopin」を参考展示した。
Robopinはクリオネを思わせるシンプルなラインで構成されており、関節自由度は6つと少ないが頭や腕を上手に動かして感情を感じさせる表現を行う。「複数ロボット連携によるパーソナライズサービス」の実現を目的としており、クラウドや同種ロボットと連携しながら、眼前の人に適したサービスを提供する。
展示会場では入場票に埋め込まれたBLEビーコンで来場者を感知してその来場者の事前登録情報をクラウドから引き出し、興味を持ってもらえそうなブースを案内するデモが行われていた。本来であれば会場内のRobopin同士が連携(来場者の情報共有)することで「他のRobopinが設置されている、未訪問のコーナーへの誘導を促す」といったサービスを提供できるとするが、今回は準備時間の都合上、実現しなかったという。
Robopinをヒトへのインタフェースとして、イベント運営支援ソリューション「EXBOARD」と組み合わせ、パーソナライズされた接客体験を提供することを、同社では「メディエータロボティクスサービス」と呼称し、既に特許を出願している。
このメディエータロボティクスサービスはロボットを単体で利用するのではなく、システムの1コンポーネントとして利用する考え方であり、日立製作所が2018年の投入を計画しているヒト型サービスロボット「EMIEW3」にも類似したアプローチといえる。
ロボットでサービスを提供するという目的を果たすため、これまでは「ロボット単体でサービスを提供する」取り組みに主眼が置かれてきたが、近年ではPepperやRoBoHoNのように「ロボットとクラウドが連携してサービスを提供する」例が増加している。富士通のRobopinや日立のEMIEW3はさらにその次、「ロボットとシステム、ロボットとロボットが連携してサービスを提供する」世界の実現を目指しているといえる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「ロボアプリ開発者100倍増」狙い、PepperがAndroid対応
PepperがAndroid環境に対応。Androidアプリの実行が可能となる他、開発環境「Android Studio」からのロボアプリ開発も可能となる。 - Pepperにライバル、クラウド連携のヒト型サービスロボ「EMIEW3」
日立製作所が接客案内などを行うヒト型サービスロボット「EMIEW3」を2018年に市場投入する。クラウド接続を前提に、システムとして目的を果たす思想で開発されており、監視カメラや商品DBとの連携でサービスを提供する。 - Pepperが営業力を強くする、担当者とロボットが連動してお出迎え
営業支援システムなどを手掛けるソフトブレーンが、Pepperを利用した受付システム「eレセプションマネージャー」を発売する。名刺交換の相手を絶対に忘れないロボットが、無人化の進む受付を営業のチャンスに変える。 - 「サービスロボット」の最新動向【後編】
「第233回NRIメディアフォーラム」(主催:野村総合研究所)の中で紹介された「『サービスロボット』の最新動向」を基に、サービスロボットの今とこれからについて説明する。後編では「サービスロボットの現在の利用シーン」と「今後の展望」について取り上げる。 - 「サービスロボット」の最新動向【前編】
「第233回NRIメディアフォーラム」(主催:野村総合研究所)の中で紹介された「『サービスロボット』の最新動向」を基に、サービスロボットの今とこれからについて説明する。前編では「なぜ、今サービスロボットなのか?」について取り上げる。