三菱自動車が1カ月だけの“クラストップ燃費”に支払った代償の大きさ
現在、自動車業界で最もホットなキーワードは、電気自動車や自動運転ではなく、燃費不正になるでしょう。
Volkswagen(フォルクスワーゲン)グループの排気ガス不正は、日本の自動車業界にとって他山の石として身を正すものでしかないと思っていました。日本でそんなことは起こるはずはないと。しかし、2016年4月20日に三菱自動車が軽自動車の燃費計測の不正について発表したとき、それは単なる幻想にすぎないと気付かされました。
三菱自動車の件を受けて他の自動車メーカーも燃費計測について調査を行った結果、スズキも燃費計測の基となる走行抵抗の計測を国内法規通りに行っていなかったことを発表しています(関連記事:走行抵抗を正規に測らなかったスズキ、「燃費を良く見せる意図はなかった」)。
まだまだ終息しそうにない燃費不正問題ですが、その原因となったのは、ダイハツ工業が2011年9月に発売した「ミラ イース」から始まる軽自動車の激しい燃費競争でしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ≫モノづくり編集のこぼれ話
- 三菱自動車はどのように走行抵抗値を測ったか、専門家も知らない独自手法?
三菱自動車が燃費不正問題に関する3度目の会見を開いた翌日、日産自動車は三菱自動車に2370億円を出資することを公表した。ただ、社内の指示系統や、ユーザーや販売店らを対象とした補償など燃費不正問題で明らかになっていない点は多い。不正の核心について「“高速惰行法”などという言葉は存在しない」との指摘も飛び出した。 - 走行抵抗を正規に測らなかったスズキ、「燃費を良く見せる意図はなかった」
スズキは、燃費試験に必要な走行抵抗値の測定について、同省が定める惰行法ではない方法による測定値を申告していた。国内で販売中の16車種全てについて、2010年から独自手法で算出した走行抵抗値として申請。惰行法と2010年以降の測定手法を比較した結果、走行抵抗値の差は誤差の範囲内のため、燃費値の修正は必要ないとしている。 - “傲慢な”フォルクスワーゲンは排ガス不正を機に開かれた企業になれるのか
2015年9月の発覚から2カ月。フォルクスワーゲンの排気ガス不正問題は収束する気配を見せていない。この問題について、第三者認証機関のDNV GLグループで法務担当ディレクターを務めるThor Winther氏が講演で言及。同氏は「傲慢な企業といわれたフォルクスワーゲンだが、今後は開かれた企業になる必要がある」と述べた。