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豊田章男社長が謎かけ「十角形の角から引ける対角線の本数は」製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

トヨタ自動車は、2016年3月期(2015年度)決算を発表した。会見の中で同社 社長の豊田章男氏は「2017年3月期(2016年度)は、われわれの意思の真贋が試される年になる」と説明。為替の“追い風”が止み潮目が変わったことを好機と捉え、「大きくなりすぎたトヨタ」(豊田氏)の仕事の進め方を変えていくことをあらためて宣言した。

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角が増えるほど多角形の対角線は増える

 豊田氏は「年間の生産/販売が600万台の時と1000万台の時では仕事の進め方が変わってくると感じている」と、三角形や四角形などを基に説明した。

 「三角形、四角形、六角形を、それぞれ300万台、400万台、600万台を目指す組織だと仮定する。角が人だとすると、対角線が内部調整の線になる。三角形には対角線がないが、四角形なら2本、六角形なら9本と“内部調整”が増えていく」(豊田氏)と解説。

“十角形”の組織には膨大な内部調整が必要になるため意思決定の速度が鈍る
“十角形”の組織には膨大な内部調整が必要になるため意思決定の速度が鈍る (クリックして拡大)

 続けて「生産/販売1000万台は十角形になる」と説明した同氏は、「十角形には35本の対角線がある。1本変更すると他も全て変更になる。トヨタは組織の機能の強さで成長してきたが、機能間の調整が増える中で、意思決定の実行やスピードが遅くなったのを実感した」と語る。

 カンパニー制によって内部調整を減らすことで、責任ある立場のリーダーが現場に近いところで物事を決められるようにし、“もっといいクルマづくり”を推し進めるきっかけにしていく。

2017年3月期は5期ぶりの減収減益の見通し

 2016年3月期決算は売上高は前期比4.3%増の28兆4031億円、営業利益は同3.8%増の2兆8539億円、当期純利益は同6.4%増の2兆3126億円で、4期連続の増収増益だった。連結販売台数は、北米市場でSUVが好調だったものの新興国市場が低迷し、前期比29万1000台減の868万1000台。グループ全体でも、前期比7万4000台減の1009万4000台となった。

 2017年3月期の業績見通しは、5期ぶりの減収減益を見込んでいる。売上高は前期比6.7%減の26兆5000億円、営業利益は同40.4%減の1兆7000億円、当期純利益は同35.1%減の1兆5000億円となる見通しだ。熊本地震による工場稼働停止の影響は織り込んでいない。減益の予測は為替差損によるもので、改善の積み上げによって為替影響を吸収していくのが課題となる。

 一方、販売台数は21万9000台増の890万台を見込んでいる。このうち、日本市場での販売は18万1000台増の224万台を目標とする。「プリウス」や「パッソ」といった新モデルのほか、投入予定の新型クロスオーバーSUV「C-HR」が販売をけん引するとしている。

 豊田氏は「ここ数年の決算は、為替の追い風による参考記録だった。この風がやんで、等身大の姿が見えてきた。真の実力を追求し、意思を持って、継続できるかどうか、覚悟が本物かどうか試される1年になる」と2017年3月期の意気込みを述べた。

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