汎用エンジンから撤退する富士重工業、社名を「株式会社SUBARU」に変更:製造マネジメントニュース
富士重工業は、2017年4月1日付で社名を現在の「富士重工業株式会社」から「株式会社SUBARU」に変更する。併せて、汎用エンジンなどを手掛ける産業機器カンパニーをスバル自動車部門の傘下に統合することも決定した。
富士重工業は2016年5月12日、同日開催した臨時取締役会で、2017年4月1日付で社名を現在の「富士重工業株式会社」から「株式会社SUBARU」に変更することを決議したと発表した。2016年6月28日開催予定の定時株主総会で定款変更が承認されることを条件に、社名変更を実施する方針。
2017年4月1日付で、社名を「富士重工業株式会社」から「富士重工業株式会社」から「株式会社SUBARU」に変更する。英文社名も、「Fuji Heavy Industries Ltd.」から「SUBARU CORPORATION」となる 出典:富士重工業
併せて、2016年10月1日から、汎用エンジンなどを手掛ける産業機器カンパニーをスバル自動車部門の傘下に統合することを決定した。今後は新規開発は行わず、その人的資源はスバル自動車部門に投入される。これにより、スバル自動車部門と、航空機や宇宙機などを扱う航空宇宙カンパニーの2事業体制となる。
同社は、2016年度に年間販売台数100万台超えを見込むなど、スバルブランドで好調に展開している自動車事業を中心に、2020年をめどとする中期経営ビジョン「際立とう2020」を推進している。同ビジョンでは、2020年のありたい姿を「大きくはないが強い特徴を持ち質の高い企業」と定めており、その実現に向けた取り組みとして“スバルブランドを磨く”と“強い事業構造を創る”を挙げている。
「創業100周年を機に、長年皆さまに親しまれてきた社名を変えてブランド名と統一させる目的は、この“スバルブランドを磨く”取り組みをさらに加速させ、スバルを自動車と航空宇宙事業における魅力あるグローバルブランドとして成長させることにある」(同社)という。
また“スバルブランドを磨く”上では、スバル自動車部門の開発リソースの増強が重点課題になっていた。そこで、全社的な経営資源配分最適化の観点から、産業機器カンパニーをスバル自動車部門に統合し、その開発リソースを自動車開発に充てることを決めた。産業機器カンパニーの既存製品の製造・販売・サービスは当面継続するが、新規の開発案件は停止される。
富士重工業の2015年度連結売上高は3兆2323億円、営業利益は5656億円。このうち売上高の約94%に当たる3兆934億円、営業利益の約96%に当たる5436億円をスバル自動車部門が稼ぎ出している。連結売上高の約6%と営業利益の約4%を占めるのが航空宇宙カンパニーと産業機器カンパニーだが、航空宇宙カンパニーが売上高1528億円、営業利益182億円と営業利益率10%を超えているのに対し、産業機器カンパニーは売上高326億円、営業利益1億円にとどまっていた。
富士重工業は、1917年に創設された飛行機研究所(後の中島飛行機)を源流とし、1953年に現在の富士重工業となった。今回の社名変更の基になるスバルブランドは、1958年発売の軽自動車「スバル360」から始まっている。一方、今回スバル自動車部門に統合される産業機器は、1956年に発売した汎用エンジン「ロビンエンジンKD11」が源流となっている。
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