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海女の血管年齢が同年代の女性より10歳以上若いことを発見医療技術ニュース

産業技術総合研究所は、三重県志摩・鳥羽地区と千葉県南房総市白浜に在住する、海女121人を含む女性203人(平均年齢65歳)の血管年齢を計測し、同年代の一般女性の血管年齢より約11歳若いことを明らかにした。

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 産業技術総合研究所(産総研)は2016年4月18日、三重県志摩・鳥羽地区と千葉県南房総市白浜に在住する、海女121人を含む女性203人(平均年齢65歳)の血管年齢を計測し、同年代の一般女性の血管年齢より約11歳若いことを明らかにした。

 同研究では、海女という特殊な労働形態に着目し、その身体活動が、動脈壁の硬さを示す「動脈スティフネス」に与える影響を検証した。同地域の女性を、海女/運動習慣のある女性/運動習慣のない女性の3群に分け、動脈スティフネスを計測した。動脈スティフネスは、心臓から足首までの動脈脈波伝播速度を血圧で補正した指数「Cardio-ankle vascular index(CAVI)」で評価。さらに、5000人以上の健常な日本人を対象に作成された「年齢とCAVI値の関係式」を用いて、得られたCAVI値を「血管年齢」に換算した。

 その結果、CAVI値は、運動習慣のない女性に対して、運動習慣のある女性で5.8%、海女で7.4%低値を示し、血管がしなやかであることが分かった。血管年齢を実年齢と比較すると、運動習慣のない女性は平均約6歳、運動習慣のある女性は平均約8歳、海女は平均約11歳、実年齢より若いという結果になった。

 一方で、海女の呼吸機能は、運動習慣のない同年代の一般女性と同等だった。海女は運動習慣のない女性に比べ、努力肺活量は高いが、1秒間にどれだけ速く呼息できるかという能力の指標「1秒率」は、逆に低いことが示唆された。

 海女の労働形態は、息止め潜水の繰り返しであり、有酸素性運動とは異なる身体活動だ。そのため、海女の呼吸機能が平均的であるにもかかわらず、動脈スティフネスが低値で、血管年齢が若いというのは、習慣的な有酸素性運動の効果とは別のメカニズムによると考えられる。今後は、水中運動に伴う身体機能の適応メカニズムを解明することで、新しいスタイルのリハビリテーション法の提案や新たな心血管疾患発症予防策の創出も期待できるとしている。

 同研究は、産総研人間情報研究部門の井野秀一研究グループ長らが、テキサス大学オースティン校の田中弘文教授、フクダ電子と行ったもので、成果は米学術誌「American Journal of Physiology - Regulatory, Integrative and Comparative Physiology」5月号に掲載される予定だ。

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志摩・鳥羽・白浜地区に住む女性の動脈硬化度(左)および推定血管年齢と実年齢との差(右)
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呼吸機能の比較

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