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先行き不透明な中国自動車市場、エコカーとクロスオーバーで乗り越えられるか北京モーターショー2016レポート(3/4 ページ)

中国経済の成長鈍化により同国の自動車市場は先行き不透明な状態になっている。そんな状況下で開催された「北京モーターショー2016」では、厳しい環境規制に対応するエコカーや、唯一大きな成長を見せているクロスオーバー車の出展が相次いだ。桃田健史氏による同ショーのレポートする。

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クロスオーバーの出展目立つ

 会場内を巡って、最も目立つのがSUVから派生したクロスオーバー車の多さだ。

 その背景にはSUV人気がある。2000年代における中国の乗用車のファーストバイヤーが「2台目はSUV」という志向が高まった。また、欧米文化の影響を受けやすい、1980年代生まれ、さらには1990年代生まれの購買層が「SUVはクール(カッコいい)だ」とのライフスタイルを描くようになってきた。2015年の通年で、SUV市場は前年比52.4%増と大幅に伸びている。こうしたSUVブームの中で、「さらなる差別化」要因として、SUVをベースとしたクロスオーバー市場に注目が集まっているのだ。

 これを商機とみて、マツダは新型クロスオーバー「CX-4」を同社初となる中国でのワールドプレミアとした。「アテンザ(Mazda6)」と車体を共有し、車格としてはその名を通り、「CX-3」と「CX-5」の中間に位置する。CX-4のインテリアは、ダッシュボードのメーター周辺はCX-3、そしてセンターコンソール周辺はCX-5との共通部品が多い。搭載エンジンは、排気量2.0lの「SKYACTIV-G」と、AWD車専用の排気量2.5lのSKYACTIV-Gの2種類。

マツダが新型クロスオーバー「CX-4」をワールドプレミア
マツダが新型クロスオーバー「CX-4」をワールドプレミア(クリックで拡大)

 ディーゼルの「SKYACTIV-D」については「中国では、いまだにディーゼル燃料は粗悪品が多いため(燃費や排気ガスへの規制適合や、エンジン本体への負担増をかんがみて)、当面の間は市場導入する予定はない」(マツダ幹部)という。

 なお、CX-4の日本市場を含めた世界市場での販売時期や搭載エンジンについて、今回は未発表だった。

 その他のメーカーのクロスオーバーでは、Cadillac(キャデラック)ブランドから富裕層向けに2016年夏発売する「XT5」に人だかりができた。また、Infiniti(インフィニテ)ブランドは「QXスポーツインスピレーション」を出展。これは、次世代クロスオーバーのデザインの中核となるイメージモデル。担当デザイナーによると、同車をイメージした2種類か3種類の新規車両を量産する計画だという。

キャデラックの「XT5」
キャデラックの「XT5」(クリックで拡大)

 クロスオーバーは決して高級車向けだけではない。日産自動車の低価格車ブランドであるVenucia(ヴェヌーシア)は「T90」を初出展。発売価格は10万元(約170万円)以下に抑えたい考えだ。中国のエントリーモデル市場は、中国地場メーカーが主流とする5万〜10万元の価格帯で伸びている。ホンダも、東風ホンダの理念ブランドなどで、クロスオーバーなどを含めた多モデル化を急ぐ考えだ。

日産自動車の低価格車ブランド・ヴェヌーシアから小型クロスオーバーが登場
日産自動車の低価格車ブランド・ヴェヌーシアから小型クロスオーバーが登場(クリックで拡大)

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