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Cコードからの“最適な”HDL生成を自動化、FPGAへの実装も1週間で完了車載ソフトウェア

アドバンスド・データ・コントロールズは、オーストラリアのVeltronixと代理店契約を締結し、同社のハードウェア自動設計ツールの国内販売を開始した。C言語で記述された複雑なアプリケーションをFPGAやASICに実装するのに必要なハードウェア記述言語(HDL)について、従来よりもコンパクトかつ効率的に自動生成できる。開発間も、従来の6カ月から1週間程度まで短縮可能だ。

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 アドバンスド・データ・コントロールズ(ADaC)は2016年4月21日、オーストラリアのVeltronix(ヴェルトロニクス)と代理店契約を締結し、同日からハードウェア自動設計ツール「Veltronix Accelerate(ヴェルトロニクス アクセラレート)」の提供を開始したと発表した。C言語で記述された複雑なアプリケーションをFPGAやASICに実装するのに必要なハードウェア記述言語(HDL)について、従来よりもコンパクトかつ効率的に自動生成できる。また、機能仕様の定義からタイミング検証までにかかる期間を、従来の6カ月から1週間程度まで短縮することも可能だ。先進運転支援システム(ADAS)や自動運転の開発によってソフトウェアの規模が膨大になっている自動車業界や、高度な機械制御が求められているFA分野などに向けて提案していく。

アドバンスド・データ・コントロールズの河原隆氏
アドバンスド・データ・コントロールズの河原隆氏

 1990年代ごろから現在にかけて、車載ソフトウェアは複雑化と規模の拡大が進んでいる。走る/曲がる/止まるが電子制御化されてきたことに加え、センサーで障害物を認識し、センシング結果を制御に反映させるため、「車載ソフトウェアの行数は1億行を超える段階まで来ている」(ADaC 社長の河原隆氏)という。こうした大規模なソフトウェアを最適なパフォーマンスで実行できるようなハードウェア化の作業は、検証過程も含めると開発期間が長期化してしまう。

 従来、制御ソフトウェア開発者がC言語で記述したアプリケーションのソースコードからHDLを生成する場合には、ハードウェア開発者がアーキテクチャ設計やモジュール設計といったプロセスを踏まえて最適なHDLを生成していた。C言語のソースコードからHDLを自動生成するツールも多数あるが、C言語を素直に解釈してHDLにするため、規模が大きくなり、実行効率も高いとはいえない状況にある。このため、ハードウェア開発者による最適化の作業は必須だった。

 ヴェルトロニクス アクセラレートは、ハードウェア開発者による最適なHDL生成の作業を自動化するツールだ。C言語のソースコードの内容を解析して、処理のタイミングをディターミニスティック(確定的)に自動設計し、並列処理が可能な演算を自動で抽出してて最適なHDLを出力する。

 同ツールの現行で生成するHDLはVerilog形式となっており、対応するFPGAはAltera(アルテラ)製のみ。ただし、2016年10月に予定している次バージョンから、Xilinx製FPGAやASICへの対応を進める計画だ。

「ヴェルトロニクス アクセラレート」の構成
「ヴェルトロニクス アクセラレート」の構成 (クリックして拡大) 出典:アドバンスド・データ・コントロールズ

 ヴェルトロニクス アクセラレートを使えば、ハードウェア開発者に負担を掛けずに、制御ソフトウェアの多くの機能をFPGAやASICに落とし込むことができるようになる。自動運転技術で求められる、レーダーやカメラなどセンサーの検知結果の処理や、深層学習、人工知能などリアルタイム性が求められる重い演算処理をプロセッサで行うよりも負荷を軽減できるわけだ。

 例えば、ある制御ソフトウェアのアプリケーションについて、800MHz動作のARMのプロセッサコア「Cortex-A9」で処理するよりも、250MHz動作のアルテラのFPGA「Stratix IV」にヴェルトロニクス アクセラレートで生成したHDLを実装した方が141倍速く処理できるという結果が出ているという。これによって消費電力の低減にもつなげられる。

 この他ヴェルトロニクス アクセラレートでは、制御システムに最適なハードウェアとソフトウェアの分割が可能なデータの抽出もサポートしている。

ハードウェアの設計工数を6カ月から1週間に短縮処理速度は141倍に改善 ハードウェアの設計工数を6カ月から1週間に短縮(左)。処理速度は141倍に改善する(右) (クリックして拡大) 出典:アドバンスド・データ・コントロールズ

 さらに、FPGA向けのオプションとして、単精度や倍精度の浮動小数点ハードウェアをサポートする「Floating Point Hardare Support Toolbox」や、生成したHDLの自動テストベンチの生成、テストベクトルの生成をサポートする「HDL Verification/Simulation Toolbox」を用意した。

 ヴェルトロニクスは2015年に設立した新しい企業だ。エンジニアチームは自動車用の組み込みシステムの開発に10年以上携わっているという。日本のユーザーに向けては、ヴェルトロニクスの代理店であるADaCが窓口となってサポートする。

 また、ヴェルトロニクスがヴェルトロニクス アクセラレートを販売するのは、同社の本国であるオーストラリアと、ADaCが代理店となる日本だけだ。「これまで先行ユーザーと開発を進めてきたツールだが、オーストラリア以外のグローバル展開は日本からになる。今後は米国などにも展開を広げて行く予定だ」(ヴェルトロニクス)という。

 ヴェルトロニクス アクセラレートの参考価格は、ノードロック方式の永久ライセンスで390万円から、3カ月のサブスクリプションライセンスで93万6000円から。フローと方式では、永久ライセンスが1170万円から、3カ月のサブスクリプションライセンスが280万8000円から。

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