人工知能の奇跡的な復権:SYSTEM DESIGN JOURNAL(5/7 ページ)
囲碁王者への勝利を果たすなどAI(人工知能)への注目は依然として高くありますが、研究史を知る身からすれば、AIへの興奮はジェットコースターのようなものであるとも感じられます。多岐にわたる成果を挙げ始めた現代のAIは何が違うのでしょうか。
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1997年のDeep Blueの勝利は、ルールベースのシステムの頂点であったかもしれません。それ以降、エキスパートシステムに関する数多くの研究が行われ、IBMは実際に地質調査から医療診断まで多様なアプリケーションに最新のPOWERサーバを使用したDeep Blueのマーケティングを続けています。しかし、AIのアーキテクチャが目指すところは、ニューラルネットワークの回帰という別の力によって変化しました。
ニューラルネットワークは2つの要素によって復活しました。1つは超並列コンピューティングシステムの出現です。ニューラルネットワークは、その利用と厳しいトレーニングモードの双方で、極めて並列的な問題です。1万台のサーバがあれば、1980年代の研究者が夢見た、深い階層の巨大ネットワークが期待できます。
問題もあります。従来のニューラルネットワークは、学習中は完全につながっており、レイヤー内の各ニューロンが前のレイヤーにあるニューロンから入力を受け取ります。そのため、個々のニューロンの次の状態を計算するのが面倒になるだけでなく、ニューロンを個々のサーバに分割すると、ネットワークのトラフィックが殺到します。普遍性を損なわずにネットワークの接続を減らす先験的な方法があれば最高です。
幸運なことに、マシンビジョン分野の研究がこの問題に取り組み、2つ目の要素を提供しました。この分野の研究者は、何年にもわたって畳み込みカーネルをとりわけ特徴検出器として使用してきました。このアプリケーションでは、小さなカーネルのそれぞれが入力イメージ全体の中から16×16ピクセル平方の小さな断片のみをスキャンします。
研究者はフロントエンドに畳み込みプレーンを配置することによって、ニューラルネットワークの規模を小型化できるだけでなく、畳み込みプレーンをネットワークの深くに混ぜ込んで接続を大幅に減少できることも発見しました。その後、ニューロン入力の重み付けに沿って畳み込みフィルターをトレーニングできます。その成果は、図4に示す畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と呼ばれます。CNNをよくトレーニングすると、2D画像の識別と解釈に極めて有効であることが証明されましたが、さらに一般化できることも判明するでしょう。
広範なアプリケーション
マシンビジョン研究者の一部はすぐにCNNを選択しました。自動車運転支援システム(ADAS)と自律走行車の研究者は、自動車に接続されたカメラのバッテリー、レーダー、レーザーから得られる画像のデータ量を減らす方法としてCNNを応用しました。
つい最近、別のアプリケーションがCNNを使用して驚くべき成果を上げました。それは、DeepMindとチャンピオンを負かした囲碁プログラムです。囲碁はチェスと類似点があり、実際、以前の囲碁ソフトウェアは、先に打つこととルールベースの局面評価を組み合わせて最良と考えられる次の手を検索するという、チェスプログラムに使用されているものと似たアプローチを採っていました。
しかし、チェスと囲碁では規模が違います。チェスでは、ほぼ初心者のスキルである次の四手を先に打つだけで考えられる局面が約1000通り生成されます。囲碁では、序盤の四手で約300億通りの局面が広がります。わずか数手でも全数検索が不可能なことは明らかです。
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