「製造業における在庫にまつわる課題の動向調査」の結果を発表:製造ITニュース
日立ソリューションズ東日本とジェムコ日本経営は、「製造業における在庫にまつわる課題の動向調査」を実施し、その調査結果を発表した。販売計画精度の低さや属人的な対応などが課題として挙がっている。
日立ソリューションズ東日本とジェムコ日本経営は2016年3月24日、「製造業における在庫にまつわる課題の動向調査」の調査結果を発表した。両社は製造業および一部流通業の主な経営課題である、適正在庫についてのセミナーを1年に渡り展開してきた。今回発表の動向調査はその折に実施されたものだ。
調査期間は2015年2月27日から同年12月12日まで。セミナー来場者に対するアンケートとして実施し、回答総数は260人。回答者の属性は、業種では化学24%、機械14%、食品10%、電気機器9%、通信・IT機器8%など。部門別では、生産・生産管理26%、SCM・物流15%、調達購買・資材11%、営業11%などとなっている。
「在庫に関するオペレーション面での課題は何か」という質問では、「在庫過多」との回答が最も多かった。その要因として多く挙がったのが「販売計画精度の低さ」(36.2%)、「属人的なオペレーション」(31.9%)、「需要変動が大きいことにより在庫を持たざるを得ない」(30.4%)だった。
「在庫にまつわるデータ管理/分析上の課題」については、21.2%が大量の業務データの分析に困っていると回答。特に消費財に関する製品のSKU(在庫管理する商品単位)が数億になる場合も珍しくなく、表計算ソフトで管理できる範囲を超えているという。
さらに「在庫にまつわる組織/取り組みについての課題」という質問には、15%が「在庫の責任部署の曖昧さが課題」と答えた。「在庫適正化に向けたプロジェクトを組んで取り組んでいる」は12.3%だった。
回答者の具体的な声としては、「適正在庫量が定義できていないため、在庫の異常が判別できない」「大量の商品群の中での在庫過多に関する解析が困難で、需給調整が難しい」などがあった。
ジェムコ日本経営の執行役員コンサルティング総括である土屋和広氏は、需要変動をキャンペーンなどあらかじめ分かるものとそうでないものに分けてオペレーションすることが重要だと指摘する。計画立案についても、自動化できることと人間が判断・調整することを見極めることが必要だという。
また、日立ソリューションズ東日本のパッケージビジネス推進本部本部長内海由博氏によると、需給調整の現場は、需要の増減や調達・生産の遅れといったイレギュラー処理への対応に追われており、ルーチン業務の優先度が下がり、数量の見直しや調整がおろそかになる傾向があるという。イレギュラー事象の発生頻度を低減し、業務を効率化するためにも、ITによる支援を強化すべきだとしている。
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