「Raspberry Pi 3」の実力をベンチマークで検証する(1/4 ページ)
ボードコンピュータ「Raspberry Pi」に新製品、CPU強化と無線機能を搭載した「Raspberry Pi 3」が登場した。ベンチマークによるパフォーマンス検証と、ターミナルでのBluetooth有効化を行う。
CPUは64bitに 無線関係のデバイスにも対応
電子工作やプロトタイピングのツールとして人気のボードコンピュータ「Raspberry Pi」に、最新製品「Raspberry Pi 3」が登場した。
これまでにも「Raspberry Pi 2」や「Raspberry Pi Zero」などシリーズ製品を紹介してきたが、今回も国内での一般市販が開始された「Raspberry Pi 3 Model B」を入手したので、ご紹介していきたい。
まずは、スペックはRaspberry Pi 2とどこが変わったのだろうか。以下の表を参照してもらいたい。
概要 | Raspberry Pi 3 Model B | Raspberry Pi 2 Model B |
---|---|---|
SoC | Broadcom BCM2837 | Broadcom BCM2836(CPU、GPU、DSP、SDRAM、USB) |
CPU | ARM Cortex-A53/1.2GHz 4コア | ARM Cortex-A7/900MHz 4コア |
GPU | デュアルコア VideoCore IV 400MHz(3D 300MHz) | デュアルコア VideoCore IV 400MHz(3D 250MHz) |
メモリ(GPUと共用) | 1GB DDR2 450MHz 低電圧 SDRAM (ELPIDA B8132B4PB-8D-F) | |
USB2.0ポート | 4(LAN9514内蔵ハブ) | |
映像入力 | 15ピンMIPIカメラインタフェース (CSI) | |
映像出力 | コンポジットRCA(PAL/NTSC)、HDMI 1.3/1.4 | |
音声出力 | 3.5mmジャック、HDMI、I2S | |
ストレージ | microSDカード | |
ネットワーク (RJ45) | LAN9514(10/100 Mbpsイーサネット) | LAN9514(10/100 Mbpsイーサネット) |
無線LAN | IEEE 802.11 b/g/n 2.4GHz(Broadcom BCM43143) | ―― |
Bluetooth | Bluetooth 4.1, Bluetooth Low Energy(Broadcom BCM43143) | ―― |
低レベル周辺機器 | GPIOヘッダーピン40ピン | |
消費電力 | 約9W | 約12.5W |
大きさ(コネクタ部の突起を除く) | 85 × 56 × 17mm | |
公式に提供されるOS | Debian, Fedora, Arch Linux, RISC OS、Windows 10 | |
既存モデル「Raspberry Pi 2 Model B」との比較 |
Raspberry Pi 3は既存モデル「Raspberry Pi 2」からハードウェア自体の性能が上がっており、SoCには同じクアッドコアながらも900MHzのARM Cortex-A7から1.2GHzのARM Cortex-A53となり、64bit対応となった。
一番目を引くのはやはりオンボードでの無線対応だろう。Broadcom BCM43143がSDカードスロットの横に搭載されており、2.4GHz帯のIEEE802.11b/g/nとBluetooth 4.1/ Bluetooth Low Energyに対応する。これまで無線LANやBluetoothを使おうとすると、USBコネクタにアダプターを差して対応しなければならなかったので、この分のポートが空くことになるのは歓迎したい。
無線関係のデバイスを国内で使う際には、総務省の「技術基準適合証明」(技適)を取らなければいけないが、パッケージにも表示されているよう、Raspberry Pi 3は技適認証を取得している。総務省の技術基準適合証明等の公示(リンク先PDF)を見ると、リストの一番下に確かに書かれており、2016年2月末には既に認証を得ていることが分かる。
ただ、このリストにRaspberry Pi 3が載っているからと言って、全てのRaspberry Pi 3が技適を得ているわけではない。並行輸入版などを取り寄せる際には気をつけたいところだ。
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