消費電力そのままで2倍速い「次世代Bluetooth」の離陸が迫る
IoTの根幹をなす「接続」に寄与する技術の1つがBluetoothだ。現在、Bluetooth SIGでは「通信範囲の拡大」「最大2倍の高速化」「メッシュネットワーク対応」の準備を進めている。
モノとモノがつながることで新たな価値を生むというIoT(Internet of Things)はどのような経済効果をもたらすのか。「IoTは向こう10年で、1600兆円の価値を生む」と語るのは、Bluetooth SIGにて開発者プログラムのディレクターを務める、スティーブ・ヘーゲンデルファー氏だ。
IoTの根幹をなす「つながる」ことに寄与する技術の1つがBluetoothだが、Bluetooth技術の認証団体であるBluetooth SIGでは「通信範囲の拡大」「最大2倍の高速化」「メッシュネットワーク対応」の3つで、爆発的なIoTデバイスの増大とそれに伴う市場拡大をサポートしていく考えだ。
Bluetooth Low Energy(BLE)のClass1であっても通信範囲は最大100mほどだが、これを最大4倍まで拡大し、高速化については消費電力はそのままに最大2倍の通信速度向上を狙う。また、メッシュネットワークについてはCSRmeshをベースにしたワーキンググループを既に稼働させており、こちらの技術を元にした実装が行われる予定だ。
この3点は2016年中に発表の予定されている技術ロードマップとして2015年11月に発表されているが、これらは現行規格(4.2)の機能強化・追加ではなく、次バージョンでの実装となることがヘーゲンデルファー氏より明かされた。
ヘーゲンデルファー氏はBluetoothを利用したソリューションの中で大きな伸びを見せているのがビーコンであり、農業やリテール分野を中心に広く普及が進むだろうという。加えて、国内でも成田空港にBluetoothビーコンを利用したナビゲーションが導入されており、そうしたロケーションサービスにも用途にも利用が拡大するだろうと述べる。
実装が予定されている「通信範囲拡大」「高速化」「メッシュネットワーク対応」によって、これまでBluetooth以外の無線通信技術が選択肢にあげられてた産業機器や自動車、ビルメンテナンスなどにもその利用範囲は拡大するが、ヘーゲンデルファー氏は“すべての無線通信にBluetoothを”という方向は意図しないとする。
「Bluetoothの特徴はセンサーとの親和性、低消費電力、オープンであること」(ヘーゲンデルファー氏)と述べ、あくまでもBluetoothの特長を生かした範囲での利用・導入から促進していくというスタンスを示した。
Bluetooth Meshによる制御に対応したミネベアのLED照明「SALIOT」。Qualcommの「CSR1010A05-IQQM-R」を採用しており、1台のコントローラーから最大100台までを同時に制御(調光や角度)できる
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