ソフトバンクが東大発ベンチャーと自動運転に進出、IT業界の参入が加速:自動運転技術
ソフトバンクと東大発ベンチャーの先進モビリティが、自動運転技術を活用したスマートモビリティサービスの事業化に向けた合弁会社「SBドライブ株式会社」を2016年4月1日に設立する。ソフトバンクは、SBドライブの設立に合わせて先進モビリティに5億円を出資する。
ソフトバンクと東京大学発ベンチャーの先進モビリティは2016年3月29日、自動運転技術を活用したスマートモビリティサービスの事業化に向けた合弁会社「SBドライブ株式会社」を同年4月1日に設立することで合意したと発表した。SBドライブの設立に合わせて、ソフトバンクは先進モビリティの第三者割当増資を引き受け5億円を出資する。
ソフトバンクとSBドライブを設立する先進モビリティは、東京大学生産技術研究所 次世代モビリティ連携研究センターの技術を基礎に、研究を大学で継続して推進しつつ、事業化による社会貢献を目指すために2014年6月に設立されたベンチャー企業である。
SBドライブは、先進モビリティの研究部門と言っていい次世代モビリティ研究センターの技術を基に、自動運転技術を活用した特定地点間のコミュニティーモビリティや、隊列および自律走行による物流/旅客運送事業などの社会実証/実用化に取り組む。ソフトバンクの通信基盤やセキュリティ、ビッグデータ分析/利用などのノウハウを活用し、国内最大級のポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフーなどの協力も得て行くとしている。
SBドライブの代表取締役社長兼CEOには佐治友基氏が就任する。取締役には先進モビリティ社長の青木啓二氏が入り、次世代モビリティ研究センター センター長の須田義大氏がアドバイザーとなる。
「Yahoo!カーナビ」のプローブデータ活用も可能
自動運転車とIT業界の関わりでは、Google(グーグル)の自動運転車開発プロジェクトが最もよく知られている。配車サービスのUber(ウーバー)も自動運転車開発に乗り出しており、Apple(アップル)の自動車業界参入は自動運転車になるという見立ても多い。
国内でもディー・エヌ・エーとベンチャー企業のZMPが2015年5月に、自動運転技術を活用したタクシーやバスの配車サービスの実現を目指す合弁企業・ロボットタクシーを設立。2016年2〜3月にかけて神奈川県藤沢市で実証実験を行った。
ソフトバンクはこれまでも、エネルギーやロボットといった新規事業展開に積極的だった。自動運転車の事業展開では、ヤフーが無料アプリとして提供する「Yahoo!カーナビ」で得たプローブデータの活用も可能だ。
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