連載
工場用のイーサネットって何だろう?:工場用イーサネット入門(2)(3/4 ページ)
インダストリー4.0や工場向けIoTなどに注目が集まっていますが、そもそも工場内のネットワーク環境は、どのように構築すべきなのでしょうか。本連載では、産業用イーサネットの導入に当たり、その基礎から設備設計の留意点などを含めて解説していきます。第2回ではイーサネットとは何かを紹介します。
産業用Ethernetとは
ここからは、もう少し産業用Ethernetについて詳しく触れていきます。産業用Ethernetに対応する通信規格は、既にいくつかマーケットで登場しており、それとともに国際規格化の活動も盛んに行われています。
具体例としては、IEC(International Electrotechnical Commission)のTC65/SC65C/WG11にて、国際規格IEC 61784-2が審議されています。この規格の特徴的な点は、規格化といいながら、規格を一つにまとめるのではなく、さまざまな規格の並立を前提としている点です。さまざまな仕様をもつ産業用Ethernetが、1つの規格書として編集されています。
IEC 61784-2の各産業用Ethernet規格は、大きくは以下の2つに分かれます。
- 標準Ethernet型「フィールドバスでEthernetとの共存を狙ったもの」
- 専用Ethernet型「Ethernetの高速性を同期制御用途に活用したもの」
標準Ethernet型
標準Ethernet型には以下の2種類あります。
- Ethernetで広く採用されているTCP/IPを採用して、アプリケーション層に独自の制御用プロトコルとして高速化を実現している方式
- 標準フォーマットを採用しているものの、TCP/IPやUDP/IPのヘッダを介さずPROFINETのデータを組み込めるようにした方式。TCP/IPやUDP/IPヘッダがない分だけフレームサイズを小さくでき、イーサネットの帯域消費量を減らせる
専用Ethernet型
専用Ethernet型は、専用ASICを使うタイプです。Ethernetと共存されていますが、データ通信(TCP/IPやUDP/IP通信)については、別途ゲートウェイ(G/W)機器が必要になるなど、各産業用ネットワークの仕様に委ねられます。
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