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「介護向けアシストスーツを実質1万円」の挑戦(2/2 ページ)
入浴補助やベッドからの移乗など介護現場における作業負荷を軽減する1つの提案がパワードスーツだが、価格的な問題もあり広く普及しているとはいえない。法政大学の石井教授は「介護現場向けのアシストスーツを実質1万円」で提供するという。
「軽量」「低価格」「着脱容易」といった特徴と引き替えに、動作はシンプルだ。「スイッチ動作1回で中腰維持」「スイッチ動作2回で直立維持」といったアシスト力の変更は行えるが、筋電センサーなどは備えていないので、基本的にはスイッチによって背筋の動き(持ち上げる動き)をアシストするのみという動作になる。
スイッチについては手袋型、指サック型、犬笛型(可聴域外の音をスイッチにする)、喉喉マイク型など作業シチュエーションに応じたものを用意し、動力源となる圧縮空気タンクについても、0.75リットル×2、1リットル(ウエストポーチ型)、2リットル(リュック型)を用意しさまざまな作業に対応する。1リットルタンク1本で4〜5回の動作が可能だ。
このクールベストは福祉用具としての保険適用も視野に入れており、保険適用になれば導入者の負担は10万円の1割、1万円まで下げることが可能になる。加えて、利用部品については量産効果も見込めると石井氏は話しており、大量生産が行われた際には“実質1万円切り”での提供も可能になる。
現在は大学発ベンチャーとしての起業を含め市場投入を検討している段階だが、まずは介護施設へのレンタル・販売から開始し、動力源となる圧縮空気タンクについては空のタンクを回収して充填(じゅうてん)済みタンクを配るレンタル形式とする形式も検討しているという。
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