インド産のスズキ「バレーノ」はBセグ、車重はAセグの「ソリオ」と同等:エコカー技術
スズキは、ハッチバックタイプの新型コンパクトカー「バレーノ」を発売した。マルチ・スズキ・インディアで生産し、日本販売分を輸入する。パワートレインは、排気量1.2l(リットル)の自然吸気エンジンと新開発の排気量1.0l直噴ターボエンジンの2種類をそろえる。Bセグメント車のバレーノだが、車両重量はより小型のAセグメント車「ソリオ」と同等である。
スズキは2016年3月9日、ハッチバックタイプの新型コンパクトカー「バレーノ」を発売したと発表した。インドの同社生産拠点であるマルチ・スズキ・インディアで生産し、日本販売分を輸入する。インド生産の車両を日本に輸入するのは初めて。グレードは、排気量1.2l(リットル)の自然吸気エンジン「デュアルジェット」を搭載する「XG」と新開発の排気量1.0l直噴ターボエンジン「ブースタージェット」を採用した「XT」の2種類をそろえる。JC08モード燃費は、排気量1.2lのデュアルジェット搭載車が24.6km/l、排気量1.0lのブースタージェット搭載車が20.0km/lを達成した。税込み車両価格はXGが141万4800円、XTが161万7840円。XGのみ発売日が2016年5月13日となる。
プラットフォームとエンジンを新開発
バレーノは既にインドで生産/販売しており、グローバルコンパクトカーとして日本だけでなく欧州などでも展開する。日本国内では年間6000台、月間では500台が販売目標台数となっている。新興国からの輸入車ということもあってか控えめな設定だ。
スズキはBセグメント用プラットフォームを新たに開発し、バレーノで初採用した。外形寸法は全長3995mm×全幅1745mm×全高1470mmだが、ホイールベース2520mm、前後乗員間の距離を805mm確保し、居住空間にゆとりを持たせた。荷室容量は320lで、リアシートを倒さずにゴルフバックを横置きで積載できる。
新プラットフォームは軽量化と高剛性化も図った。ボディーやエンジン、足回りでも軽量化を徹底し、XGで910kg、XTで950kgと、Aセグメント向けの軽量プラットフォームを採用している「ソリオ」と同程度の車両重量を達成した。ソリオでモーターアシストなしのガソリンエンジンを搭載する「G」グレードは、前輪駆動モデルが930kg、四輪駆動モデルが970kgとなる。「スイフト」は一部グレードの車両重量が960kgだが、ほとんどのグレードは1000kgを超える。
この新プラットフォームは国内外のBセグメント車にも採用していく。
パワートレインのうち、排気量1.0lのブースタージェットである「K10C型」は新たに開発したもの。直噴化とターボチャージャーにより、最高出力82kW、最大トルク160Nmと排気量1.6lの自然吸気エンジン相当の性能を確保した。トランスミッションは、パドルシフト付きの6速ATを組み合わせる。
XGの排気量1.2lのデュアルジェットエンジンは、ソリオと共通の「K12C型」となる。トランスミッションは副変速機構付きCVTを搭載する。
両グレードとも駆動方式の設定は前輪駆動のみ。
安全装備も搭載
衝突被害軽減システムは、ミリ波レーダーによる「レーダーブレーキサポートII」を標準装備とした。自動ブレーキは、静止している車両に対しては時速5〜30km、走行中の車両に対しては時速5〜100kmの範囲で作動する。
時速5〜100kmで走行中に先行車両と衝突の可能性が高く、ドライバーが強くブレーキを踏んだ場合は、ブレーキアシスト機能が作動して制動力を高める。また、同じ速度範囲で走行中、前方の車両と急接近し、衝突の可能性がある場合は自動的に軽いブレーキを作動させてドライバーに原則を促す。これらの機能は、全てブザー音でドライバーに警告を発しながら作動する。
アダプティブクルーズコントロールも標準搭載する。あらかじめ設定した時速40〜100kmの範囲内の速度で、先行車両との車間距離を保ちながら自動で加減速して追従走行する。
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