今の生産性で戦えるか、再確認したい現場改善の“視点と考え方”:実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(10)(3/7 ページ)
革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について解説する「磐石モノづくりの革新的原価低減手法」ですが、今回は「強い現場体質づくり」に向けた考え方、目の付け所について解説していきます。
ムダ働きを理解するための4つの分類
このムダ働きを具体的に理解するために、ムダを次の4つに分類し、順次その理解を深めていくようにしてください。
- モノを取る、モノを置く動作
- 取り付け、取り外し動作や作業
- 無作業状態
- 不完全から生まれる動作や作業
ムダを追放するためには、過去から存在するムダをなくすことだけではなく、今後、それらのムダの発生を防ぐ知恵(歯止め)も必要です。
1.2 「停滞(在庫)のムダ・運搬のムダ・動作のムダ」の排除
要するに、ムダ排除とは「お金になる仕事だけやる」ということです。とりわけ多くのムダが発生するのは、停滞(在庫)のムダ、運搬のムダ、動作のムダです。この3つのムダ排除を徹底して実行すれば、ほとんどのムダが排除できるといっても過言ではありません。
モノが停滞すれば必ず運搬作業が発生し、同時にモノを探したり数えたり、積み直したりなどの取り置き作業も発生してしまいます。従って、多くのムダの発生源であるモノの停滞を限りなくゼロに近づけていくことが肝要です。そのためには、「直接、仕事をする所へ運ぶ」ことが重要になります。しかし、モノを直接に仕事をする場所へ運ぶためには、前後の工程が時間的に同期していなければなりません。ロット生産では、物理的に仕事をする所には運べません。また、加工中でないモノにはロット待ちが発生しますので、モノは1個ずつ流していかなければなりません。
このことから、モノを停滞させないモノづくりは容易には達成できないことを理解して頂けたと思います。だからこそ、仕掛かりゼロの生産体制は、革新的な強い現場体質が確立できるわけです。
また、動作のムダ排除とは、必要最小限の身体部位を使って作業が完了するように部品やモノの配置を工夫し、配置する数もできるだけ少なくして動作距離を最少にすることを意味します。動作のムダ排除の具体的な方法については後述します。次に、停滞のムダと動作のムダの主な発生原因と、その顕在化の方法について記述しておきますので参考にしてください。
停滞のムダ
<原因>……つくり過ぎることにより発生する
- 手待ちの時に余分につくる見込み生産やロット生産
- 設備の調子の良いときにつくり続ける先行生産
- 先食い生産は良いことだと思っている現場体質
<顕在化>……仕掛かりや在庫は、本質的にムダであると考える。モノを造り過ぎてしまうと、置き場所が必要、移動作業や出し入れ作業が発生、資産回転率が低下すると金利負担が増すなどのムダを生む
<対策>
- 仕掛かり品や在庫品の目的と量を明示する。その際、できてしまったのか、つくらせたのかを明らかにしながら改善を進める
- 仕掛かり品や在庫品の標準手持ち量を事前に決めておき、それをオーバーしたら目視で分かるようにしておく
- 表示のないモノや、はみ出しているモノがすぐに分かるようにしておく
動作のムダ
<原因>……加工作業や組立作業の早過ぎる作業スピードが原因で発生した仕掛かりや、ロット生産による作業待ち品(仕掛かり品)により発生する取り置きなど
- 座ったままの作業による狭い動作範囲によって発生する動作のムダ
- つながりのある作業にもかかわらず、作業場所が離れているために発生する作業待ちのムダ
- 動作経済の原則を逸脱したムリな作業によるムダ
- 作業を行うために部品や治工具を並べたりそろえたりする準備作業
- ダブリ作業や不要な作業
<いわゆる、ムダな動作>……両手が遊ぶ、片手が遊ぶ、動作の停止、動作が大きい、歩行、持ち替える、背伸びをする、腰を曲げる、振り向き角度が大きい
<顕在化>……ムダな動作の時間や回数を把握して定量化する
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