今の生産性で戦えるか、再確認したい現場改善の“視点と考え方”:実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(10)(1/7 ページ)
革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について解説する「磐石モノづくりの革新的原価低減手法」ですが、今回は「強い現場体質づくり」に向けた考え方、目の付け所について解説していきます。
昨今、「現場力」という言葉を耳にします。「現場力の強化」「強い現場体質の構築」などさまざまな言われ方をしますが、こうした掛け声ばかりで具体的な行動に移していくことができない企業も多くあります。多くの経営者や管理者が「何とかしなければ……」と感じつつも行動できないのは、安楽に慣れ現状に満足してしまい、心のどこかに「これで良い、こんなものだ」といった考えがあるからではないでしようか。
毎日、同じ仕事のやり方を繰り返していては、成長していくはずもありません。いつまでも同じサイクルの中に浸っていては、後は落ちていくだけです。学生時代のペーパーテストであれば、60点以上をとってしまえば80点でも90点でも合格ですが、企業活動、特に製造業ではそういうわけにはいきません。60点であれば60点程度の製品、90点であれば90点程度の製品しか造れません。
企業はそのとき考えられる満点を目指して、日々努力をしていかなければならないのです。そのためには、やり遂げようとする意気込みが必要です。そして全員参加の活動が求められます。1人の成長より、目標に向けて決めたことや方針を全員が理解・納得して、実行できる組織力がなければ、企業全体の成長は望めません。
最後に志の高さです。安住の企業体質から脱却し、成長しながら生き残っていくためには、経営者や管理者は自社が向かうべき方向に灯火を掲げなければなりません。また、挑戦的な高い目標にこそ、人はやりがいを感じるとともに成長の機会が与えられているといっても過言ではありません。また、その目標が具体的で、達成した暁(あかつき)には何がどう変わるのかを全員が理解していなければなりません。なぜならば、人は到達先やその道筋の意味を理解できなければ行動しないからです。このことも併せて承知しておかなければなりません。
本連載の第10回の今回は、主に現場の強い体質づくりに向けた考え方や、目の付け所について解説していきます。一歩進んだ改善に重要なことは「ものの考え方と見方」です。飛躍的な改善効果を得るための主な方策について具体的に説明していますので、本連載の第4〜6回と併せて活用して頂きたいと思います。そして、新たな企業体質づくりへの一歩を踏み出して頂くことを願っております。
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