IoTが引き起こす「物理的な脅威」にどう対処すべきか(2/2 ページ)
「IoTで便利になる」その裏側に潜む危険性にどうやって対処すべきか。「火事を出す」「空き巣に入る」といった直接的かつ物理的な危険性を回避するため、どんな手法が考えられるのか。
そして仕組みの充実と同時に着手しなければならないと馬場氏の言及したのが、「火事を出す」「火傷をさせる」「空き巣に入る」といった直接的かつ物理的な「IoT由来の脅威」への対応だ。危険性という意味では、なりすましやクラッキングといった情報世界からの脅威も存在するが、IoTでは情報(制御)が眼前のモノへアクセスするため、より直接的/物理的な危険性に直結する可能性がある。
1社で完結する世界であれば「自社アプリケーションとデバイスを、意図した操作しかできないよう設計する」ことが1つの解決方法になるが、IoTでは自社他社を問わずにつながることを前提としている。そのため、「自社以外のアプリにどのような機器操作を許すか」「機器操作を許すとして、その基準はどう定めるか」といった「利用者の安全確保」という視点での開発設計が求められることになる。
そうなれば純粋に技術的な手法だけでは解決が難しい、責任の所在が不明瞭になる事例も考えられることから、馬場氏は安全の確保について、法令(製造物責任法や独占禁止法など)や行政の関与も必要となる局面があるだろうとした。
合同会合ではこの他、IoTを利用した農業支援や介護支援、ヘルスモニタリングなどの事例についてNTTドコモ、Z-Works、サイマックスなどから紹介された他、NICTの総合テストベッド環境の紹介、世界最大規模のエミュレーション基盤であるStarBEDを活用しての「スマートホームが集まった町を想定しての大規模シミュレーション」などについても紹介された。
スマートIoT推進フォーラムでは今後、「技術戦略検討部会」と「研究開発・社会実証プロジェクト部会」に分科会・プロジェクトを設けて活動を行っていく。技術戦略検討部会には「技術・標準化分科会」「テストベッド分科会」「IoT人材育成分科会」が設けられ、研究開発・社会実証プロジェクト部会では「自律型モビリティプロジェクト」「スマートシティプロジェクト」が設けられ、技術開発や社会実装に向けての活動を行っていく予定だ。
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