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ゲノム情報を医療に役立てる、マイクロRNAによるがん治療から個別先制医療まで:医療技術ニュース(2/2 ページ)
東京医科歯科大学 難治疾患研究所 分子細胞遺伝分野 教授の稲澤譲治氏が「ゲノム情報を通して人々の幸せに貢献する」をテーマに講演を行った。稲澤氏の研究は、マイクロRNAによるがん治療から、臨床情報とゲノム情報を組み合わせたデータベースを基にした個別先制医療まで広範囲にわたる。
約4800件の臨床情報とゲノム情報を組み合わせたデータベース
稲澤氏は、東京医科歯科大学の疾患バイオリソースセンター長も務めている。同センターでは、同大学の医学部附属病院と歯学部附属病院の患者に対する説明と同意取得を行って、個人情報に深い配慮を払いながら、臨床情報とゲノム情報を組み合わせたデータベースを構築している。2013年4月の設立から、これまでに約4800件の検体を収集した。
論文から集積された知識による科学的根拠を基に、ソニーと共同で、遺伝子的側面での発症リスクを算出する「ゲノム解釈アルゴリズム」を開発している。そして2016年度からは、同大学の長寿・健康人生推進センターで「健康管理ゲノム情報の提供事業」を始める予定だ。
同事業で提供するのは、遺伝子的側面以外に生活習慣などの環境要因が大きく関係する多因子遺伝病に関する情報である。稲澤氏は「個別先制医療の実現に向けた大きな一歩になる。ゲノム情報を医療に役立てる形で社会実装できるのは大変うれしい。今後は、公的な医療研究機関などとの連携によるデータベース拡大などにも取り組んでいきたい」と述べている。
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